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2069    

デジャヴ

2007/9/18
Deja Vu
2006年,アメリカ,127分

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          ★★★--  
     
 
 ニューオリンズでフェリーが爆破され、500人以上の犠牲者が出た。ATF(アルコールタバコ火器局)の捜査官ダグ・カーリンはその捜査に当たり、それが爆破だと見破り、爆破とは別の犠牲者の死体を見つける。その操作能力に目をつけたFBIが彼を特別捜査班に加えるが、その捜査班は4日と6時間前の記録をリアルタイムで再生できる装置を持っていた…
  ジェリー・ブラッカイマー製作のクライム・サスペンス。トニー・スコットとデンゼル・ワシントンは『マイ・ボディガード』以来のコンビになる。
監督 トニー・スコット
脚本 テリー・ロッシオ
    ビル・マーシリイ
撮影 ポール・キャメロン
音楽 ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ

出演 デンゼル・ワシントン
     ポーラ・ハットン
     ヴァル・キルマー
     ジム・カヴィーゼル
     アダム・ゴールドバーグ

 

 

 

 

 

 24時間あらゆるところを監視するシステムというと同じジェリー・ブラッカイマー製作でトニー・スコット監督の『エネミー・オブ・アメリカ』を思い出すが、今回はそれがさらにスケールアップ、『エネミー〜』は98年の作品だから、この10年弱の間に近未来は現在になり、新たな近未来が必要になったのかもしれない。
  そして、その何もかもが見えてしまう装置を使って事件を解決しようとするわけだが、いくら最新鋭の技術だからといって壁の中の様子が手に取るようにわかってしまうというのはおかしいし、録画ができるのに早送りや巻き戻しができないというのもおかしいということにはすぐ気づく。そしてそれが、更なる物語の展開を生むというわけなので、詳しくは書かないが、その展開によって8年前の作品はうまく裏切り、それなりに現代的な作品になったということだ。
  ネタばれをせずに作品の感想を簡単に書けば、まあ面白いというところだろう。超大作を手がけるブラッカイマー&トニー・スコットにしては大物もデンゼル・ワシントンしか出ていないやや地味な作品で、CGとかアクションに特にこっているわけでもない。デンゼル・ワシントンの味とシナリオで勝負という狙いがうまく行って、「これだからハリウッドは…」と思わせないくらいの作品にはなっている。
  純粋なアクションよりは、サスペンスやSFが好きな人向きの作品という感じ。あまり常識にとらわれない人なら最後までスリルを味わいながら見ることができるはず。

 さて、ここからは多少ネタばれして書きます。とはいってもオチまでは書かないので、ご安心を。というのも、この作品は物語の中盤で、その監視装置が実は過去とをつなぐワームホールだということが明らかになり、それがもたらすタイムパラドックスが物語の中心になってくるから。それはつまり、過去とのワームホールがあるなら、爆破事件を防ぐことができるのではということで、人間は送り込めないにしても、紙ぐらいは遅れるんじゃないかということから展開していく。
  そして実際に(ダグが自分宛に)メモ帳を送るのだが、それを見た相棒がそのメモを見て一人で埠頭に行ってしまい、殺される。これが過去を変えたことになるのかと思いきや、その相棒の車は埠頭で発見されているし、実は変わっていないということになるのだ。それ以降、果たして過去が変えられるのかということを中心に話が展開していく。
  ここで疑問になるのはもちろん、過去が変わったら現在はどうなるのかということだ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で写真が徐々に消えていってしまったように徐々に変わるのか、『サウンド・オブ・サンダー』のように段階的に変わるのか。これに対して研究者の一人は、過去のある時点を帰ると、支流のように別の流れができそちらに未来が展開すると語る。そして本流だったところは「徐々に消滅する」と説明するのだ。私はそれにはある程度まで賛成だが、本流が消滅するとは思えない。別に複数の時間の流れがあっても構わないではないかと思うのだ。過去に戻って流れを変えたならば、違う未来が訪れるわけだけれど、本来訪れるはずだった未来もそれはそれとして訪れ、ただその二つの未来は異なる時空に存在するだけだ。
  これはつまり、3次元を点と見たときに世界を「時間」を横軸「場合」を縦軸にした平面と見るわけで、いわば5次元空間と言えるのかもしれない。去年(2006年)リサ・ランドールの「5次元空間」が立証されたと話題になったけれど、それが私が想像しているものと似たものだといいなと思う。
  私はこのタイムトラベルとかタイムパラドックスとか言うのが好きで、ついついいろいろ考えてしまうのだけれど、このサラ・ランドールさんの邦訳が出たらしいのでそれもぜひ読んでみたい。
  話は映画からすっかり離れてしまったが、結局この手の映画を見るとどうしてもタイムパラドックスについて考えてしまうのだ。しかし、タイムパラドックス的に正しいかどうかを検証しながら見ると、大体楽しめてしまうし、この作品は最後まで言ってもそれほど齟齬はないと思う。タイムトリップ好きの人にはぜひ見て欲しい。