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1805    

兵隊やくざ 大脱走

2006/9/6
1966年,日本,87分

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          ★★★星星  
     
 
 お尋ね者の兵隊コンビ大宮二等兵と有田上等兵は玉砕作戦を控えた関東軍の前線部隊に配置された。そこで歩哨に立っていたある日、2人は慰問団の生き残りに助けを求められ、助けるのだが、その娘を巡って部隊で騒動が起きる…
  『兵隊やくざ』シリーズの第5弾、勝新と田村高廣は相変わらずの名コンビで、そこに『新・兵隊やくざ』に登場した成田三樹夫が再登場、さらに安田道代も加わって娯楽的要素が強まった。
監督 田中徳三
原作 有馬頼義
脚本 舟橋和郎
撮影 武田千吉郎
音楽 鏑木創

出演 勝新太郎
     田村高廣
     成田三樹夫
     安田道代
     南都雄二
     芦屋雁之助
     芦屋小雁

 

 

 

 

 

 兵隊やくざといえば、娑婆ではやくざだが軍隊では二等兵の大宮とインテリで戦争嫌いの有田上等兵の名コンビのシリーズもの。荒くれものの大宮二等兵がなぜか有田上等兵になついて、ふたりで脱走を試みるというのが毎度のパターンだが、今回は将校に成りすますというおまけまでついている。
  この将校に成りすますというのはなかなか機転の利いたネタだった。シリーズ5作目ともなるとマンネリにもなりそうなものだが、このネタによってこの作品を大きな展開を手に入れた。軍隊なんて徽章に敬礼しているというのは本当の話で、二等兵の大宮が少尉の軍服を着たとたんそれらしく見てくるのだから不思議な話だ。これはもちろん軍隊をはじめとして組織に対する皮肉である。軍隊のような縦型の秩序を持つ組織ではものを言うのは肩書きであって中身ではない。実際に偉ぶっているだけの大尉より偽者の有田中尉のほうが兵隊たちの心もつかみ、人々のことを思うのだ。
  権力をつかむと人情やら何やらという人間らしさを失う。これは軍隊に限らず、あらゆる場面で真実だ。勝新といえばアウトローな主人公を演じることが多いが、その勝新が演じるアウトローな主人公は多くの場面でこのようなことを語る。この『兵隊やくざ』シリーズの大宮二等兵も、『座頭市』シリーズの市も、軍隊ものや時代劇という舞台を借りて現在にも通じることを語りかけるのだ。

 とはいえ、この作品もシリーズも完全な娯楽映画だし、勝新と田村高廣の活躍が痛快なことが第一であることは間違いない。この作品はとくに笑いの部分でもなかなか質が高く、勝新の喜劇役者としての才能も垣間見れる。このシリーズはどれを見ても同じといえば同じで、見続けると飽きてくることは確かだが、その作品もそれなりのレベルを保っているので、たまに思い出したように見るとなかなか楽しめる。それぞれが独立しているから別に最初から順番に見る必要もなく、気楽に見られるのもいい。
  戦争ものというと見るのに気が重くなることも多いが、この『兵隊やくざ』シリーズは気楽に見られるし、それなりに戦争についても語ってくれる。1年に1本くらいは見たい作品だ。