| こんな小説があること自体知らなかった。もとネタの「日本沈没」は3度映画化されているが、これは当たり前といえば当たり前だが初映画化。とはいえ、原作を書いた当時も小松左京も一緒になっておもしろがったというのだから、SF界というのはおおらかで独創的な世界だと思う。この映画化に再しても小松左京は快くOKを出し、コメントも寄せいている。自分の作品が“名作”として映画化されるよりも、このようなふざけた企画のほうが乗っていけるという気持ちはわかる気もする。
映画のほうはというと、企画倒れとまでは行かないが、企画の突飛さが期待させるほどの突飛さは実現できなかったという気がする。まあ、この監督はいつもそうだけれど、企画のインパクトで観客をひきつけ、キャストやぬいぐるみでそれを補強してマニアックな人気を集める。そういう作品なのだ。この作品はぬいぐるみこそ出てこないが、村野武範と藤岡弘、というオリジナルの『日本沈没』のキャストを出演させてマニア心をくすぐり、金正日などの現代的なトピックをちりばめて、それをパロディ化し素直ではない観客に訴える。
ただ、この物語の中心となる“GTA(Gaijin Atack Team)”なんてのは注目に値するものなのかもしれない。このようなモチーフが今現れるというのはどこかで日本人の外国人に対する不満の鬱積があるのではないだろうか。半日運動が起きる中国、領土問題を抱える韓国やロシア、拉致問題など問題山積の北朝鮮、そしてアメリカ… それらの国々に対する不満がGTAとして表れ、へえこら頭をたれる中国や韓国の首相役をみて日ごろの鬱憤を晴らすのだとしたら、それは問題だ。日本には(ヨーロッパなんかと比べたら)排斥するほど移民などいやしないし、隣国との関係もそれほど深刻なものだとは私には思えない。中東なんかはもちろんのこと、中南米と米国との関係なんかも日本と東アジア諸国の関係とは比べ物にならないほど深刻だ。
それでも不満がたまっていることは確かだ。それはある種の平和ボケで、日本が平和で日本人が幸せであることの裏返しだとも思う。そう考えると、変に危機感を煽るよりはこのような他愛もない映画でガス抜きをして、それですむなら、そのほうがいいんじゃないかと思う。
こんな映画だから、それほど観客が入るとは思えないが、レイトショーならそれほど大コケすることはないだろうし、何より制作費がかかっているとは思えないから大損することもない。このままB級映画動を突っ走ればいつかとんでもない傑作が生まれるかもしれない。そんな予感がわずかではあるが感じられる作品だ。
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