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オリジナルの『TAXi』は面白かった。巨匠になってしまったリュック・ベッソンが普段やれないことをやってやろうみたいな勢いがあって、主演のサミー・ナセリも非常にいい味を出していて、警官役も情けなさ丸出しで。
この映画も主役のクイーン・ラティファはとてもいい。ただ単に私がクイーン・ラティファを好きだということもあるのだが、リメイクする上でここまで主人公のキャラクターを変えながらうまくオリジナルの味を残しているというのも凄いのではないかと思う。
しかし、それ以外はどうだろうか。リメイクということでほとんどの仕掛けがわかってしまっているということもあるのかもしれないが、車が返信するところとか、カーチェイスのシーンとか、なんだかもったいぶりすぎているという感じがして、じれったい。もっとポンポンポーンとテンポよく展開して行って1時間くらいで終わるか、あるいはもうちょっと余計なエピソードを足して煮詰めて行くかしないと、オリジナルをまったく知らない人意外には退屈な映画になってしまうのではないかと思う。
しかも、なんと言っても警官役のジミー・ファロンというのが曲者だ。見た目もなんだか情けないというよりはいやみな感じだし、警部補に対する感情というのもオリジナルのうじうじした感じと違ってなんだか自信過剰だし、やることなすことがどうにもいやらしい。その感想は最後まで付きまとい、クイーン・ラティファ演じるベルには感情移入できるが、ウォッシュバーンのほうにはどうにも感情移入できずに、中途半端な感じで見終わってしまった。もちろん、人それぞれの好みの問題ということもあるのだろうが、どうにもね。
それとは逆に、ウォッシュバーンのお母さんのほうは面白い。オリジナルのほうではお母さんの印象はあまりないのだけれど、こっちのお母さんは非常にいいキャラクターを出している。とくにベルの恋人のジェシーとのエピソードはもう少し広げても面白かったんじゃないかと思う。
このウォッシュバーンがどうにも中途半端というのも、お母さんが目立ってくるというのも、この映画が基本的にほとんど女性の映画になっているというのもあるのかもしれない。映画の重要な位置を占める登場人物はすべて女性、主人公も、犯人も、それを追う警察もみんな女性。男性はほんの添え物に過ぎず、まったくと言っていいほど活躍しない。
オリジナルでは、ドライバーと警察官とが男同士の友情みたいな不思議な関係で結ばれていたのが、こっちではドライバーと犯人の間に関係性が成立しているような感じがするのだ。
だから、結果的にはこの映画はオリジナルとはまったく違う映画になっており、リメイクだという気持ちで見るとまず拍子抜けしてしまうのかもしれない。リメイクであることは忘れて、ただの痛快なアクションとしてみれば、案外面白く見られるのではないかと思うのだが。
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