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まず面白かったのは、いきなり60歳くらいと思われるヨンジャクの母親の不倫シーンがはさまれることだ。題名が『浮気な家族』だけあって誰もが浮気するわけだが、このシーンはなかなか強烈、これでこの映画は観客に印象を残すことに成功するだろう。
そして、このシーンは同時にこの映画を強烈に意味づける。それは、ここに登場する人々がセックスにしか価値を見出せない人々だということである。彼らはいつもセックスのことしか考えていない。「セックスをしたい」ということであれ「セックスをしてはいけない」ということであれ、とにかくセックスのことしか考えていないのだ。
だから、面白いといえば面白いし、製作者はそれが本質だと考えているのだろうと思うが、いかんせん描こうとするものの幅が狭くなってしまう。結局のところ観客が注目することになるのはホジョンとジウンの関係であり、それもやはり徹頭徹尾セックスをめぐる物語なのである。
セックスをめぐる生々しい物語を描こうとしたためか、この映画にも先日の『ハッピーエンド』と同様にメークを落とすというシーンが登場する。また、アイスキャンディーを食べるシーンというのも共通して出てくる。どちらのシーンも生々しさを演出するためのものだと思うが、今ひとつ成功していない。
さらに、この映画に違和感を感じるのは、どうも男性は不倫をすることに抵抗が無いのに対して、女性には強い抵抗感があるように見えるということだ。ホジョンはなかなかジウンとの関係に踏み切れないし、ヨンジャクの母親も結局のところ夫が死んだら不倫していた男と結婚することでそれまでの行為を正当化しようとする。それに対して男性は、不倫そのものを禁止されていない(が、その責任は取らなければならない)ように見えるのだ。
これが儒教的価値観の反映なのかどうかはわからないが、ともかくどうにも男根主義的な物語だと思う。もちろんそれが悪いというわけではないが、私には今ひとつしっくりこないのだ。
私の捉えるところではこの映画コメディだと思うが、そのしっくりこない感じ=ズレは笑いのネタにはなりえないし、笑えるところもほとんどない。
が、息子のスインはなかなかいいキャラクターだった。みんながみんなセックスを中心に考えている中で、スインだけは(当たり前だが)そこから自由である。このスインの存在によってこの物語はかろうじて均衡を保っている。その均衡が崩れる瞬間がこの映画で一番面白かった部分だったと私は思う。彼をもう少しうまく使えば映画ももっと面白くなったのではないだろうか。
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