半支煙
2000年,香港,101分
監督:イップ・カムハン
脚本:イップ・カムハン
撮影:ピーター・パウ
音楽:チウ・ツァンヘイ
出演:エリック・ツァン、スー・チー、ニコラス・ツェー、サム・リー

ブラジルから30年ぶりに香港に帰ってきたヒョウ、銃を握り締め変わってしまった街を歩く彼はとある本屋で娼婦の体に触ったといって男にでかいナイフで切りつける若者を目にする。その後、その若者スモーキーがチンピラにからまれているところを助けたヒョウは30年前の復讐のために香港に戻ってきたといい、スモーキーに殺しの手伝いをしないかと持ちかける…

香港の俳優/監督/プロデューサーのエリック・ツァンが若手監督イップ・カムハンと組んだ作品。ウォン・カーウァイを思わせる構成と70年代風の雰囲気がミックスされた感じ。

映画の始まりは外国で、どう見てもメキシコだけど、設定はブラジルということでそういうことにしておきます。

それはさておき、香港に入るとなんともウォン・カーウァイな感じ映像の感じや色彩の感じもそうだし、なんといってもスモーキーが連れている娼婦がウォン・カーウァイの世界のひとである。それでも、全体的にみると70年代の日本映画(ATGあたりの雰囲気)も感じさせるちょっとレトロなイメージになっている。香港映画自体が日本から見るとレトロな感じがするけれど、ウォン・カーウァイはそれを同時代的なものに引き上げたはずだ。

にもかかわらずレトロな感じというのは、戻ってしまったということなのか、と思うけれど、おそらくそのあたりは意識的にやっている気がする。設定からしてベースに70年代があり、主人公のヒョウは70年代を引きずっているのだから、コレはある種の懐古趣味、70年代をリバイバルしようという意図の表れと見ることができるだろう。日本でも清順がリバイバルされるように70年代的な雰囲気が出来上がっていた(この作品の日本での公開は2001年)。

ということで、懐古趣味のように見えて実は同時代的な作品であったということは言える。

スタイルはそのようなことなわけですが、肝心の内容はといえば今ひとつテンポがない。どうしてもウォン・カーウァイと比較してしまうけれど、ウォン・カーウァイの流麗さにかけている。ウォン・カーウァイの流麗さはクリストファー・ドイルのカメラによるところが多いわけだけれど、この映画はそれを欠き、なんとものんべんだらりとした映画になってしまっている。

ラストあたりはなんだか不思議な空間ができていていい感じだけれど、そこまでは謎解きという感じの話の持って行き方をしながら、最後は不思議な感じをだしてごまかしたような観もある。

つまらないわけではないけれど、特に面白いわけでもない。現代的な香港映画としては平均点という感じなのでした。

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