Gone in Sixty Seconds
2000年,アメリカ,117分
監督:ドミニク・セナ
脚本:スコット・ローゼンバーグ
撮影:ポール・キャメロン
出演:ニコラス・ケイジ、アンジェリーナ・ジョリー、ジョヴァンニ・リビシ、ジェームズ・デュヴァル、ロバート・デュヴァル

 車泥棒のキップは強引な手口でポルシェを泥棒、アジトに持ってくるが、警察にアジトを突き止められ、これまでに盗難した車を放置して逃げてしまう。そのキップに50台の車を手配するように注文したカリートリーは、キップの兄で今は引退した伝説の車泥棒メンフィスに弟の尻拭いをするように言うが…
 1974年の『バニシングIN60』をもとに作られたクライム・アクション。車好きにはたまらない映画だと思うが、普通にアクション映画としてみるとちょっと退屈するかも。監督は『カリフォルニア』以来何故か沈黙していたドミニク・セナ。この映画に続いて『ソード・フィッシュ』を撮って復活。

 アクション映画としては中の中というところでしょうか。元ネタの『バニシングIN60』を見ていないのでわかりませんが、おそらく元ネタの方が面白いのでしょう。そもそも車を盗むというところにアクションの緊張感を求めるのはどうも間違っているようで、どんなに見事な手際でも、それ自体が面白いというわけには行かない。それでどうしても、カーチェイスということになるわけですが、そのカーチェイスの見せ場が出てくるのは後半だけ。ということでなんとなくだれたアクション映画になってしまうわけ。
 となると、ニコラス・ケイジとアンジェリーナ・ジョリーのセクシー・コンビのセクシー光線で攻めていくのかと思いきや、そうでもなく、ラブ・シーンらしきものも尻切れトンボで終わり、そこにも見所を求められません。なので、まっとうにアクション映画、ハリウッド映画を楽しもうとしてみると、どうにもならない映画といわざるを得ないということです。

 それでもわたしはこの映画は悪くないと思うわけですが、それはこの映画が全体的に持っている「へん」な雰囲気。アクション映画として物足りない部分を補うためか、それとも監督の性癖か、どうも「へん」な感じがあります。
 最初に感じたのは、スフィンクスがメンフィスを助けるシーン、スフィンクスは基本的にへんで、最後のオチまでへんで、わたしはとても気にってるんですが、とにかくその登場シーンのおおげささというか、過剰さというのがどうもへん。全体的に地味な映画を補うためなのか、豪勢に爆発します。最後のオチというのもかなりへんで、せっかくのオチなので言いませんが、映画の脈略から全く浮いているし、その意味がよくわからん。しかもそれでぷつりと終わってしまう。なんじゃありゃ?という感じ。
 あとは、犬のエピソードとか、ケイジがボロ車をガンガンにふかすシーンとか、なんか「へん」なんですよ。映画のプロットには乗っているんだけど、映画全体の雰囲気を壊すというか、全体的に一つの雰囲気にまとめるのを拒否するというのか、こちらがイメージするアクション映画というものや登場人物のキャラクターからはずした描き方をしていく。それも、あまり伏線もなく突然に。
 キップがメンフィスに料理を作ってて、塩のふたが取れちゃって、でも何事もなかったようにそのままさらに持ってメンフィスに食べさせて、メンフィスは、「ゲッ」と吐き出すんだけど、「うまい」というシーン。あれも相当へんだった
なー

 という、なんだか不思議な映画でした。
 あとは、「フレンズ」のコアなファンは気がついたかもしれませんが、キップはフィービーの弟(腹違いの弟)でしたね。

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