2002年,日本,105分
監督:清水浩
脚本:清水浩
音楽:鈴木慶一
出演:池内博之、松尾スズキ、忌野清志郎、荒木経惟

 「殴られ屋」をしながら、なんとなく暮らしている元ボクサーの岩野。そんな彼と一緒にいるのは、ティッシュ配りや取立て屋をしながらいい歳してプータローのサダと、親戚の帽子や店番をしながら、占いばかり見ている丸。そんな3人の環境が徐々に変わっていく中、何かが変わっていく…
 北野組の助監督を勤め、『生きない』で監督デビューした清水浩の第2作。個性的なキャストを集めたことで、物語云々にかかわらず、面白い映画を作ることができた。

 物語を追ったら全くたいしたことありません。でも、一つ一つのエピソードはなんとなく面白い。世の中きちんと生きている人が見たら、いらいらするのかもしれないけれど、そんな人はおそらくこんな映画は見ない。なんとなく、のらりくらりと生きている人がこの映画を見る。でも、この映画は必ずしもそののらりくらりを肯定するわけではない。その辺は居心地が悪いけれど、そういったポジティブなメッセージも込めないといけないんでしょうねやはり。
 その辺りはなんだか不満というか、もやもやしますが、岩野が借金を取り立てに行くところとか面白い。わたしとしてはなんといっても松尾スズキがおもしろい。映画としては池内博之と清志郎がメインのような気はするけれど、ネタとして面白いのはさすがに松尾スズキ。そのダサさ加減は愛するしかないという感じです。
 わたしの好みからすると、そんなキャストの裁き方にも少し不満が残るけれど、世間的には松尾スズキが脇にまわるのは仕方がないのでしょう。
 これはこれでいいんじゃないの。

 さて、北野武がどうしてもバイオレンスとかシリアスなものに行き、コメディはどうしてもうまくいかない中、この清水浩はなかなか面白い映画をとる。いつも北野武も本当にやりたいのはコメディなんじゃないかという気がして仕方がない。だから助監督からこのような監督が出るというのは北野武としても喜ばしいことのような気がする。オフィス北野から、このようにいろいろな監督が出てくると、日本映画も面白くなるのではないでしょうか?

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