少林足球
2001年,香港,112分
監督:チャウ・シンチー、リー・リクチー
脚本:チャウ・シンチー、ツァング・カンチョング
撮影:クウェン・パクヒュエン、クォン・ティンウー
音楽:レイモンド・ウォン
出演:チャウ・シンチー、ン・マンタ、ヴィッキー・チャオ、カレン・モク

 「黄金右脚」といわれる名プレイヤーだったファンはチームメイトのハンが持ちかけた八百長に乗ってしまい、PKをはずして観客に襲われ右脚を折られてしまった。20年後、ファンは変わってスターとなったハンの下で働いていた。 そんなハンが街で少林寺拳法の普及を夢見るシンとである。最初はバカにしていたハンだったが、彼のキックが並々ならぬものであることに気づく…
 香港の喜劇王チャウ・シンチーが監督主演したアクション・コメディ。ワイヤー・アクションはバリバリ、ネタはベタベタ。

 映画は面白ければいい。ということをこれだけあっけらかんと示されると気持ちがいい。いろいろ言えば、いろいろ言える。しかし、あまり何も言わないほうが面白い。と言いつつ言わねばならないのですが。
 さて、なんといっても目につくのはワイヤー・アクションとCGですね。どちらもどうでもいいところに多用されているのがいい。これはまさに過剰なことが笑いを生むものなわけですが、すべてを笑いに持っていこうというベタベタな精神はちょっと残念です。コメディ映画だからしょうがないし、このままでも十分腹がよじれるほど面白いのですが、もしやっている本人たちはいたって真面目ということが画面に現れつつも、その果てしない過剰さで見ている者を笑わせずにはいないというものが作れれば、それはもう内臓が噴出すほど面白いものになったのではと思います。
 こんなことを真面目につらつらと書いていても仕方ないので、楽しい気分で行きましょう。オープニングのアニメーションは正統派でかっこいいのですが、その前のカンパニー・クレジットからしてパロディです。しかも脈略とは全く関係ありません。パロディといえば、この映画はたくさんのパロディが含まれていますね。踊ったり、ドラゴンだったり、いろいろです。キーパーの人はブルース・リーにそっくりですが、ユニフォームがそろったときにキーパーの服を見て誰かが「それ、かっこいいなあ。交換しようぜ」などといっているのもかなりのもの。このブルース・リー関係ではかなりいろいろなネタがあると思うのですが、ブルース・リーファンというわけではないわたしはたくさん見逃している気がします。 チャウ・シンチーさんは拳法とかやっていたんでしょうかね。それとも香港人にしてみるとこれくらいのことは常識なのか。少林拳とか崋山派とか太極拳とかいろいろ出てきます。そのあたりの違いは今ひとつわかりませんが、面白いからいいか。結局全部それ。
 あまり面白さが伝わっていない気がしますね。まあ、でもこの面白さを文章で伝えるのは無理というもの。
 この映画は熱狂的なファンが多く生まれ、DVDなども企画もののボックスなどが発売されました。そこまでマニアではなくてもチェックしたいのが、字幕版と吹き替え版の違い。セリフの長さが違うので、内容が微妙に変わってくるのはどの映画でも同じですが、この映画の場合、字幕版と吹き替え版でギャグがかなり違います。だから両方見れば、ギャグの量は2倍とは言わないまでも1.2倍くらいにはなるのです。さらに、日本版・香港版・インターナショナル版と3バージョンあるらしいので、それも見比べてみるといろいろと発見があるかもしれません。
 字幕と吹替えの間が開いてしまったので、どこが変わったということはわかりませんが、歌なんかはもちろん日本語になっていたりして、山寺宏一さんの吹替えは適度に音痴でなかなかよかったです。歌のシーンのみんなで踊るのは、なんとなく『ブルース・ブラザーズ』のパロディっぽい気がします。踊りもソウルな感じで、それも安っぽいパパイヤ鈴木的ソウルな感じ。このシーンも結構好きです。

 最後に、こらえられないネタひとつ(字幕にも吹替えにも登場)
 「地球は危ない。火星に戻れ」
 ぷぷぷぷぷ

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