風の谷のナウシカ
2002/1/12
1984年,日本,116分
- 監督
- 宮崎駿
- 脚本
- 宮崎駿
- 音楽
- 久石譲
- 作画
- 小松原一男
- 出演
- 島本須美
- 納谷悟朗
- 永井一郎
「火の七日間」と呼ばれる文明滅亡のときからから1000年、地球は猛毒の瘴気を放ち、巨大な昆虫が飛び交う「腐海」と呼ばれる森林で覆われていた。海からの風によって腐海の毒から守られている風の谷、平和に暮らすその谷に虫に襲われた軍事国家トルメキアの船が墜落する…
文明と自然の関係性を問題化しながら、映画としては一人のヒロインをめぐる娯楽作品に仕上げるところがさすが宮崎アニメ。
今改めてみると、気づくことがいくつかあります。ひとつはこの世界のモデルがコロンブス以前の中南米であるということ。マヤやアステカといった文明をモデルとした神話的な世界でしょう。トルメキアの旗に双頭の蛇が使われているのも、蛇を神格化していたインカの影響が感じられます。山際に立つ石造りの建物などもそう。イメージとしてはマチュピチュでしょうかね。
もうひとつは「顔」です。風の谷の人々は常に顔があり、表情があるのに対して、トルメキアの兵士たちはほんの一部を除いてほとんど顔が見えない。顔を奪われるということは個性を奪われるということであり、人間性を奪われるということだと思います。つまり、トルメキアの人たちの顔を描かないことによって、彼らは非人間的な印象を持つということ。これに対して虫たちには顔がある。トルメキアの兵士たちより、むしろ虫のほうが人間性を持っているとあらかじめ宣言するようなこの構造が宮崎駿の演出のうまさなのかなとも思います。
あとはキャラクターのデザインの秀逸さでしょうか。特に虫のデザインは本当にすばらしい。もともとSF出身だけにそのあたりは細かいのでしょう。さらに作画監督が「銀河鉄道999」などので知られる小松原一男だというのも大きいかもしれません。
というところでしょうか。内容に関しては小学校の教科書に載せてもいいようなものなので、特にコメントはいたしません。むしろこの映画を教科書の一部にするべきだと思うくらい。
