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恋にいのちを

2001/9/25
1961年,日本,93分

 
            
     
 
 胸を病んでいた美琴は医者からもう全開といわれる。その医者のところに訪ねてきた雑誌記者の加納は行方不明となった父親を捜し、父の戦友だったその医者を訪ねてきたのだった。実はその加納は美琴の実家の料亭の得意で美琴を家まで送っていく。この二人を中心として恋愛と陰謀とが絡んだドラマが展開されてゆく。
 若尾文子や川口浩といったスターを起用せず、地味な配役で臨んだ正統派ドラマ。ドラマの練り方はさすがだがやはり全体に地味かも。
監督 増村保造
原作 川内康範
脚本 川内康範
    下村菊雄
撮影 小原譲治
音楽 西山登

出演 
藤巻潤
    江波杏子
    富士真奈美
    山茶花究
    高松英郎

 

 

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 増村にしては普通かな。ドラマとしてはドロドロ系で、いい感じですが、やはり藤巻潤と江波杏子ではパンチが弱い。野添ひとみや若尾文子とはちょっと違う。江波杏子は好きですが、脇役にいてこそ映える女優という気がします。藤巻潤もしかり。ドンと田宮二郎あたりが主役に座っていたらずいぶん違う印象の映画になったんだろうなぁ、などと思ってしまいます。
 そしてカメラマンはベテラン小原譲治。増村とは監督第1作の「くちづけ」で組んでいます。豆知識としてはこのカメラマンは川口松太郎(「くちづけ」の原作者、川口浩の父)の監督作品のカメラマンを勤めていたりしています。そんな小原譲治の画はそつがないという感想です。藤巻潤がアパートの階段を上っていく場面でのパンの仕方などがとてもスムーズで、人間の視線のようにカメラを使います。1箇所藤巻潤が社長と人悶着起こす場面でかなり細かな切り返しがあり、その部分はかなり新しい感じはありましたが、他の部分ではそれほどすごいと感じるところはありませんでした。
 ということで、全体的に地味な作品ではありますが、こういうのもありかなとは思います。こういうシンプルなドラマを見るたびに、当時の映画が1番の娯楽だった時代を思います(というか想像します)。いまならテレビで見て済ませてしまうような単純なドラマを映画館まで見に行く時代。そんな時代の有象無象のドラマの中にたくさんの名作が含まれていたということです。増村もまたそんなドラマを大量に作らなければならない職人監督の一人だったわけで、どの作品も豪華スターを使って全力投球というわけには行かなかったでしょう。この作品が撮られた60年代前半増村は毎年およそ4本の作品を監督しています。いまからでは考えられないペース。そんな中で撮られた作品なんだということが頭をよぎります。