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女は女である

2001/9/1
Une Femme est Une Femme
1961年,フランス=イタリア,84分

 
            
     
 
 ストリッパーのアンジェラは子供が欲しい。しかし、同性相手のアルフレッドはあまり乗り気ではない。そこで彼女は、いつも言い寄ってくる友だちのエミールを使って彼の気を変えさせようとするのだが…
 若き日のゴダールが取った、喜劇になりきれなかったシュールな喜劇。劇中で喜劇なのか悲劇なのかと繰り返し問われるように、喜劇のような顔をしていながらその実一体難なのかはわからない不思議な作品。個人的にはこのシュールな笑いのセンスはありです。
監督 ジャン=リュック・ゴダール
原案 ジュネヴィエーヴ・クリュニ
脚本 ジャン=リュック・ゴダール
撮影 ラウール・クタール
音楽 ミシェル・ルグラン

出演 
ジャン=ポール・ベルモンド
    アンナ・カリーナ
    ジャン=クロード・ブリアリ
    マリー・デュボワ

 

 

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 冒頭のシーンのアンナカリーナの持つ赤い傘。くすんだ色調の画面にパッと映える赤い傘はまぎれもないゴダールの色調である。だからこの映画もゴダールらしい文字やサウンドを多用した天才的な構造物であるのかと予想するが、始まってみるとコメディ色を前面に打ち出したオペラ風というかミュージカル風の作品。オペラ調は後半に行くに連れ薄れていくものの、全体にコメディ映画であると主張するようなシュールなギャグがちりばめられる。このセンスのシュールさがやはりゴダールなのか。このセンスは個人的にはすごく好き。目玉焼きなんかは最高にヒットしたのでした(俺はおかしい?)。
 ゴダールの映画はどれもシンプルなのだけれど、この映画はことさらにシンプル。多くのゴダールの映画はシンプルでありながら、ひとつひとつはシンプルである要素を重ね合わせて複雑にはしないけれど理解を難しくする。シンプルなのだけれどそこに盛り込まれた要素が多すぎていっぺんにすべてを理解することは難しくなる。しかしシンプルであるがために、頭を抱えることにはならず、凡人の理解力では追いつけない映画的なものの奔流に身を任せることが心地よい。いわば、単色のレイヤーを重ね合わせることで、一つの芸術的な絵を作り上げているような感じ。
 しかし、この映画の場合は、そのレイヤーの数が抑えられているので、理解することができる。時折、不可解な場面に遭遇するものの大部分は理解することができる。これは一方ではちょっと物足りなさを感じるけれど、何かゴダールの映画作りのエッセンスを垣間見たような気にもなれる。ようは、こんな映画を3本くらいくっつけて、しかし長さは同じ90分で作ったのがいつもの映画なんじゃないかと乱暴な言い方をしてしまえば思える。面白いんだけどよくわからないゴダールがちょっと分かった気になれる一本という感じでした。