Twin Falls Idaho
1999年,アメリカ,110分
監督:マイケル・ポーリッシュ
脚本:マイク・ポーリッシュ、マイケル・ポーリッシュ
撮影:M・デヴィッド・ミューレン
音楽:スチュアート・マシューマン
出演:マイク・ポーリッシュ、マイケル・ポーリッシュ、ミシェール・ヒックス

 お金がないことに腹を立てながらアイダホ通りの安ホテルの部屋へと向かった娼婦のベニー。部屋でであったのはシャム双生児の兄弟だった。一度は逃げ出したベニーだったがかばんを忘れ、部屋にとりに戻り、そのまま寝入ってしまう…
 孤独なシャム双生児と娼婦の間で展開される淡いラブストーリー。双子の2人が脚本・監督・主演を果たした異色作。

 物語り方は非常にうまい。ゆったりとしているようで実はすばやいテンポで物語が展開してゆく。ゆったりしていると感じさせるのはおそらく双子の動きと、くすんだ色調。テンポを作り出すのは多くを語らず、不要な部分を切り捨てていく周到なカッティング。おそらくシャム双生児を扱うという珍しさに目が行ってしまいがちだけれど、それがむしろあだになったかもしれないと思わせるくらい見事な物語り方だった。
 例えば、2人がギターを弾くシーンで、二人がベットの方に歩き、視線を横にやるカットのあと、ギターのカットが1・2秒あって、すぐに2人はベットでギターを爪弾いている。このギターが映る一瞬でわれわれは2人の荷物がギターケースに入っていたことを思い出し、次のカットにすっと入れる。ここに2人の囁きあいやフラッシュバックが入ってしまうと、効果的なようで物語を遅延させるだけの無駄なカットになってしまうように思う。
 こういった無駄なカットを省いていくことで、非常にスリムないい作品に仕上がっていると思う。ただ最終的には詰めが甘い。終盤はほぼ予想がついている展開にもかかわらず語りすぎてしまったと思う。せっかくそこまでいいペースで来たのにもったいないような気がした。
 しかし、まあ全体としてはとてもいい雰囲気の映画ですね。語りすぎないことというのは映画にとって非常に重要なことだと思います。

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