1957年,日本,88分
監督:鈴木清太郎
原作:鷲尾三郎
脚本:田辺朝巳
撮影:松橋梅夫
音楽:原六朗
出演:水島道太郎、白木マリ、南寿美子、二谷英明、芦田伸介、宍戸錠

 繁華街のキャバレーで、雲隠れした麻薬密売組織のボスらしき人物を見かけた新聞記者とカメラマンの健作。その男は見失ってしまうが、その夜健作はそのキャバレーの踊り子を助け、その踊り子の家にいくことになった。しかし、そこで想像もしていなかった事件がおきる…
 まだ若かりし清順が撮ったサスペンス。ハリウッドのフィルム・ノワールのような雰囲気で展開力のあるドラマという感じ。

 清順にしては素直な映画といっていいのか、主にプロットのほうに趣向が凝らされていて、衝撃的な映像とか、シーンとかがあまりない。しかし、50年代の話としてはかなり現代的な感じがする。
 なんとなく007を連想してしまった理由はよくわからないけれど、なぜか清順の映画の主人公はみなもてる。この映画のさえない顔した水島道太郎でさえもてる。それから小道具がさえてる。この映画はカメラマンということで、いろんなカメラを使ってみる。しかし、あの拳銃型のようなカメラはどうかと。あんなもんつかったら普通は殺されるがな。
 という映画ですが、やはりちょっと映像にこだわってみると、この映画でのポイントはアングルかな。ボーっと見てると、なんとなく過ぎていく映像ですが、なんとなく全体にいいアングルだったという印象がある。清順はクレーンとかをよく使うし、この映画でもクレーンの場面があったっと思いますが、なかったかな… まあ、いいです。 それよりも、この映画のポイントはローアングル。ローアングルといえば、小津安二郎と加藤泰の専売特許のように言われますが、清順のローアングルもなかなかのもの。ローアングルというよりは、至近距離で人を下から撮るという感じ。たとえば座っている人の視線で立っている人を撮るとか、そういうことです。
 そういうアングルで映された人の表情が非常に印象的だったので、こんなことを書いてみましたが、まったくまとまる様子もなく、今日はこのままふらふらと終わります。

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