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イギリスから来た男

2001/2/7
The Limey
1999年,アメリカ,89分

 
            
     
 
 服役中に娘ジェニーが交通事故で死亡したと知らされたウィルソンは娘の死を不審に思い、その真相を追究する。そこで浮上してくるのは生前のジェニーの恋人、テリー・ヴァレンタインなる人物だった。
 「セックスと嘘とビデオテープの」という冠も取れてきたスティーヴン・ソダーバーグのカッティングが冴え渡る作品。テレンス・スタンプも非常にいい。映画として芸術的でありながら娯楽性も高いというなかなかの傑作。

監督 スティーヴン・ソダーバーグ
脚本 レム・ドブス
撮影 エドワード・ラックマン
音楽 クリフ・マルティネス

出演 
テレンス・スタンプ
    ピーター・フォンダ
    ルイス・ガスマン
    バリー・ニューマン

 

 

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 なんといっても、最初から飛ばすソダーバーグの映像の作り方に圧倒される。特にカットのつなぎ方がすごい。最初のほうでは、テレンス・スタンプ演じるウィルソンの主観といえるシーンで、ひとつのシーンの中にいくつかの時間を混在させ、それらの時間の順序を明かさないまま短いカットでパンパンつないでいく。そしてさらに映像と音声(セリフ)があっていないという離れ業。それは観客に理解させようというのではなく、ウィルソンの感じている感じを漠然とつかませようという狙いなのだろう。
 そして、この映画はそれが漠然としたまま進んでいく。何かを確実に謎解きするというのではなくて、何かに導かれて進んでいく。テレンス・スタンプの徹底した無表情が我々に感情を持たせるのを拒む。感じるのは苛立ち。ウィルソンが感じている焦燥感。それは、ウィルソンが麻薬調査局のボスと対面する場面、ひとつセリフごとに次のセリフがまどろっこしいかのようにブツっとカットが切られる場面で頂点に達する。
 最後に謎解きがやってきても、我々はそれにそれほどショックは受けない。それはそのようであるということを受け入れ、ウィルソンの心にいまだぽっかりとあいている穴を感じるだけだ。とりあえず映画としてはすべてのパズルがはまりすっきりとして映画館を出られる。こういう映画はすごく好き。計算された無秩序というか、ある意味ではまとまっているのだけれど、内容的には完全な結末が用意されているわけではないというか、そのあと結局物語が散逸していくというか、そんな落ち着かない感じの映画。