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「女の小箱」より 夫が見た

2001/1/16
1964年,日本,92分

 
            
     
 
 製薬会社の株式課長川代はナイトクラブの経営者石塚による会社乗っ取りを防ぐため忙しく働いていたが、川代の妻那美子はいつも夫の帰りが遅いのに不満だった。そんなある日、友人の女医に誘われナイトクラブに足を運んだ那美子はそこで石塚に出会う。
 「愛」というものを徹底的に前面に押し出し、「愛」を巡って渦巻く男女の愛憎を描いた濃密な作品。

監督 増村保造
原作 黒岩重吾
脚本 高岩肇
    野上竜雄
撮影 秋野友宏
音楽 山内正

出演 若尾文子
    田宮二郎
    川崎敬三
    岸田今日子
    江波杏子

 

 

 

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 この作品は、増村×若尾コンビが絶頂期を迎えていた頃の作品。『妻は告白する』『卍』『赤い天使』などと同時期に撮られた作品だが、作品のトーンはかなりメロドラマ色が強い。「私への愛とあなたの夢のどっちを取るの」と執拗に聞く那美子の激しさはすごい。しかし、那美子は石塚の前以外では鉄面皮に表情を変えず、淡々と語る。そのギャップを演じきれるところが若尾文子のすごいところなのだろう。特に石塚を待つ間に夫と兄がやってきたラスト近くの場面、若尾文子は眉一つ動かさず淡々と話す。その表情にしびれる。
 あとはやはりいつもどおりの増村節。今回は特に、画面の半分か3分の1を壁とか扉とかいったもので殺してしまう画面が多く用いられた。石塚と那美子がレストランで語る場面、石塚が話すときは左3分の1に柱、那美子が話すときには右3分の1に柱、この二つを切り返しで使う。これは見るとけっこう驚く。話している人に注目していると、次のカットでそこにいきなり柱が映るんだから。人物を画面の中央に配しての切り返しとは明らかに画面の印象が異なってくる。この感じが増村的なわけだ。
 というわけで、この映画は増村的メロドラマの典型のひとつということが出来るだろう。画面もストーリーも主人公のキャラクターも増村的な、ひとつの典型である。