Fuera de Aqui !
1977年,ボリビア,100分
監督:ホルヘ・サンヒネス
脚本:ホルヘ・サンヒネス、ウカマウ集団
撮影:ホルヘ・ビグナッティ、ロベルト・シソ
音楽:マルセル・ミラン、フレディ・シソ
出演:アンデスの農民たち

 アンデスにあるカラカラ村は姑息な政治屋にだまされないきちんとした意志をもった人々が住む村であったが、羊の皮をかぶった狼には抵抗出来なかった。カラカラ村にやってきた北アメリカの宣教師の一団は無料診療所を作って村人の信頼を勝ち取り、一部の村人を信仰に引き込むが、実際彼らがやっていたのは村人の不妊かと周囲の地質調査だった。
 味方の顔をして村に入り込み、利益をむさぼる北アメリカの帝国主義の実情を事実に基づいて描いた最後のいわゆる「ウカマウ」的作品。

 いままでウカマウが一貫して描いてきたハンヤンキー帝国主義というテーマを再び声高に訴える。扱う対象も『コンドルの血』で扱った平和部隊と重なるものであり、新しさはないし、結末も農民たちが年の労働者との団結を訴えて終わるという予想通りの展開で、ウカマウの映画を何本も見てから見ると、映画としての面白みには欠けるかもしれない。
 まあ、しかしウカマウ映画の本来の目的である反帝国主義という意識の喚起はこの映画でも実現されているのでよいのだろう。
 しかし、ウカマウはこの作品の次には『ただひとつの拳のごとく』というドキュメンタリーを撮り、あるひとつの新たな試みを行う。そしてさらにその次の作品は『地下の民』というよりフィクション性を強めた作品だ。それはこのころからウカマウにとってのひとつの役割が終わりつつあったということだろう。

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