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日々是映画内
赤い天使
2001/1/9
1966年,日本,95分
従軍看護婦の西さくらは中国大陸の野戦病院に配属された。前線の病院では手足切断などあたりまえ、バタバタと人が死んでいく異常な状況の中でさくらは女性としての信念を貫き行き通そうとしていた…
増村×若尾コンビ15作目のこの作品は、いつものように激しく愛に生きる女の生き様を描き、さらに戦争を舞台に選ぶことでその壮絶さを増し、描写に深みが増している。増村保造の傑作のひとつ。
監督
増村保造
原作 有馬頼義
脚本 笠原良三
撮影 小林節雄
音楽 池野成
出演 若尾文子
芦田伸介
川津裕介
千波丈太郎
赤い天使
この映画は、前半から、強姦事件がおき、生々しい手足切断シーンが描かれ、バケツに詰め込まれた手足が映される。そして後半では派手なが爆破あり、死体が投げ込まれるシーンありと本当に壮絶な映画。そして主人公の生き様もまたすさまじい。しかし、それでいて決して悲惨ではなく、ある種の悲劇ではあっても悲嘆に暮れることはない。それはすべてやはり主人公の生き方によるもので、人を3人死なせてしまったといってはいても、それを気に病んで自暴自棄になるよりも、それを糧にしてより強く前向きになっていくという姿勢を持っている。
若尾文子が美しい。裸のシーンはおそらく吹き替えだが、そんなこととは関係なく、一つ一つの表情、体の動き、すべてに緊張感があふれ、均整の取れた美しさを湛えている。それを美しく見せるのは戦争という極限状態にあってもひたすらに愛に生きようとする強さだろうか。決して涙を見せず、いつでもかっと目を見開いて起こっていることから目をそむけない強さ。それが凛とした表情に表れ我々を魅了するのだろうか。
いつものように構図が素晴らしい。この映画でも増村が多用する中心がずれたフレームが数多く使われる。そのフレームのバランスはとても美しい。例えば、さくらがワインを注ぐシーンで、若尾文子は画面の右側にいて、フレームはテーブルの高さ(人の腰の高さ)から頭の先までをとらえているが、反対側の左側はテーブルに置かれたランプが映っているだけだ。しかし、そのアンバランスな加減が非常にバランスが取れていて本当に美しい。いつも言っていますが、一帖の絵画のような一瞬。
なので、この映画は絶対劇場で見るべきなのです。絶対にオリジナルのスコープサイズで。でなければおそらくこの構図の美しさは堪能できないのです。それはもったいない。映画がかわいそう。なのです。
そう言っても、なかなかね。映画館でやってなければビデオで見るしかないのですけどね。