L.A. Without a Map
1998年,イギリス=フランス=フィンランド,107分
監督:ミカ・カウリスマキ
原作:リチャード・レイナー
脚本:ミカ・カウリスマキ、リチャード・レイナー
撮影:ミシェル・アマテュー
音楽:セバスチャン・コルテーリャ
出演:デヴィッド・テナント、ヴァネッサ・ショウ、ヴィンセント・ギャロ、ジュリー・デルピー、ジョニー・デップ

 スコットランドの田舎町で葬儀屋に勤めるリチャードは、アメリカから来た女優の卵バーバラに一目ぼれ、一日きりのデートが忘れられず、すべてを捨ててロサンゼルスへやってきた。しかし、そこはハリウッド、リチャードのような田舎ものの居場所はなかった。スラム街に家を借り、唯一できた友人のモスと彼女を手に入れようと画策するのだが…
 弟のアキ・カウリスマキと比べるといまいち知名度の低いミカ・カウリスマキ監督が撮った意外とまともな恋愛映画。ばらばらなキャストが面白い。特にヴィンセント・ギャロがとてもいい。

 壊そうとして壊しきれなかったまともな恋愛映画。いかんせん主人公の二人がまとも過ぎた。ヴィンセント・ギャロとジュリー・デルピーはとてもいいし、ジョニー・デップも効いているが、物語の芯が何だかぽあんとしてしまってしまりがない映画になってしまったのかもしれない。でも、ヴィネッサ・ショウはかわいい。
 それでも、レニングラード・カウボーイズ(弟ミカの映画でおなじみ)が出て来たり、言葉(訛りや言いまわし)にかなりの工夫が凝らされていたりと楽しめることはたしか。ヴィンセント・ギャロのしゃべり方なんかはかなり癖があっていいが、その辺りは我々日本人には少々伝わりにくいのかもしれない。
 姿勢としては、ハリウッドをおちょくるヨーロッパ連合軍。ハリウッドを舞台にしたハリウッド映画とはちょっと違った映画にしあがっている。特にパターソンのおもしろくなさはかなり面白い。それをみんなが「LA的」と称するあたり、ミカ・カウリスマキのシニカルな見方が感じられる。

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