Franchesca Page
1997年,アメリカ,106分
監督:ケリー・セーン
脚本:ケリー・セーン
撮影:クリス・ノー
出演:モーリーン・グリフィン、バーラ・ジーン・マーマン、ロッシ・ディ・パルマ、タラ・レオン、ロンダ・ロス・ケンドリック

 昔ショー・ガールをしていたリタ・ペイジは自分の果たせなかったブロウドウェイの夢を娘のフランチェスカに託し、オーディションに送り込む。しかし、フランチェスカは音痴に運痴、オーディションも大失敗。しかし、あきらめていた二人のもとに合格の通知が…
 「アタメ!」や「キカ」などのアルモドバル作品で知られる怪女優ロッシ・ディ・パルマが悪徳プロデューサー役を熱演。ジャンルとしてはミュージカルとされているが、実際はミュージカル映画をパロディ化し、映画というものをもパロディ化した作品。リタ・ペイジ役のバーラ・ジーン・マーマンやその友人役(名前わからず)の二人が歌って踊るのが本当に笑える。バーラ・ジーン・マーマンはニューヨークでは有名なドラァグ・クィーンらしいので、その素晴らしくそして笑える身のこなしにも納得。

 ドラァグ・クィーンであるバーラ・ジーン・マーマンが普通に女性役として登場するところがこの映画のすごいところ。ドラァグ・クィーンの映画というと、「プリシラ」のようにドラァグ・クリーンの役として登場するのが一般的だし、それを演じる役者が本当にドラァグ・クィーンであることは少ない。そのような意味ではかなり考える材料になる映画でもある。
 よく考えてみれば、フランチェスカはリタの子供で、お父さんはサミー・デービス・ジュニア(笑)という設定になっていて、そのこと自体がパロディ化された親子関係とみることもできる。フランチェスカは本当にリタが産んだ子供という設定なのか? 映画の中でリタは完全に女性として納得されているけれど、なかなか微妙な設定だ。このようなどうとでも解釈できる設定こそがレズビアン&ゲイ映画祭のコンセプトにあっていたということなのかもしれない。ことさらにホモフォビアや偏見を強調するよりも、このような笑いの中に隠されたいかようにも解釈できる現実という要素のほうがむしろ心に訴えかけてくるのかもしれない。それはドラァグ・クィーンの心に通じるのだろう。 

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