La Ilusion Viaja en Tranvia
1953年,メキシコ,83分
監督:ルイス・ブニュエル
脚本:マウリシオ・デ・ラ・セルナ、ルイス・ブニュエル、ルイス・アルコリサ、ホセ・レヴエルタス
撮影:ラウル・マルチネス・ソラレス
音楽:ルイス・ヘルナンデス・ブレトン
出演:ギリェルモ・ブラボ・ソーサ、リリア・ブラド、カルロス・ナバロ、フェルナンド・サト

 メキシコシティの市電局の車掌カレイレスと修理工タラハスは、担当していた133号の解体によって自分たちも解雇されるであろうことを知る。133号に別れを惜しむ彼らは酔っ払い、気づけば133号のところにきていた。彼らは勢いで133号に乗り込み、夜の町へと出発する。
 カレイレスとタラハスを中心としたやりとりがおかしく、カフカが喜劇を書いたならこんな風になっていたのではと思わせるコメディ。
 ルイス・ブニュエルのメキシコ時代の代表作のひとつ。

 帰りたいけど帰れない。そこに現れる乗客たちの多様性が暗示しているものは何なのだろうか?単なるコメディではなく、その乗客たちにブニュエルは何らかの意味を託したのだろう。社会(階層)・宗教・政治(共産主義)・アメリカなどを象徴的に示す人々が乗り込み、我々にじんわりと何かを訴えかけては下りてゆく。
 そして、全体がまた現実であるのか幻想であるのかもわからない構造。一貫して現実として描かれた入るのだけれど、それがどうして現実だとわかるのか?果たして133号は本当に町を走ったのか?カレイレスとタラハスの夢物語では?町の人々の見た幻影では?最後のナレーションを聞いてそんなことを考えた。

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