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ジプシーのとき

2000/4/17
Dom za vesanje
1989年,ユーゴスラヴィア,126分
 
            
     
 
 本物のロマ(ジプシー)の生活を彼らの言葉であるロマーニ語で描いた傑作。祖母と放蕩ものの叔父と足の悪い妹との4人で暮らす少年パルハンの成長物語。美しい娘アズラとの恋、妹の病気、ヤクザものアメードなどさまざまな人事が絡み合い、パルハンを悩ませる。
 どのカットどのフレームを切り取っても美しい(というのは必ずしも正確ではない。むしろ、魅惑的とでも言うべきだろうか)映像が目を見張る。エミール・クストリッツァの詩的世界を心ゆくまで堪能できる。

監督 エミール・クストリッツァ
脚本 エミール・クストリッツァ
    ゴルダン・ミヒッチ
撮影 ヴィルコ・フィラチ
音楽 ゴラン・ブレイゴヴィク

出演 タボール・ドゥイモビッチ
    ボラ・トドロビッチ
    ルビカ・アゾビッチ
    シノリッカ・トルポコヴァ

 

 


ジプシーのとき

 

 

 
 この映画の最大の魅力はその映像にある。すべてのカットすべてのフレームに詩情があふれ、絶妙の色使いが心に焼きつく。さりげない地面の緑や、建物の赤や黄色、人を映すときのフレームの切り方など、枚挙に暇がない。
 たとえば、冒頭の精神病らしい男、上は頭の上ぎりぎりで、下は腿の辺りで切ってあるが、このバランスがなんとも素晴らしい。男は風景の中に溶け込みながら大きな存在感を持つ。それから、最後のほうで、パルハン(主人公のほう)がタバコを吸う横顔のアップがあったが、これも、そのアップを画面の中央に置くのではなく、左端に配し、顔の4分の1ほどが切れるように映してある。残りの画面には白っぽい後ろの景色が少しピントをぼかして映っている。このバランスが素晴らしい。
 しかし、こんなことをくどくど説明したって、その素晴らしさの百分の一も伝わらないんだろうな。