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====================================================2005/5/20==
---vol.051--
日本 名画 図鑑 発行:cinema-today
http://www.cinema-today.net/
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第五十一号です。
今週は新構成となって3週目な分けですが、
毎週毎週、小津の映画を見て、書いてというのもなかなか新鮮な感じがします。
ああ、来月のテーマは何にしようかなぁ。
6月といえば、梅雨の季節、雨関係から何か連想するか、それとも、
からりと夏らしいものにして気分を変えるか…
ともかく、来週までは小津です。
┌――今月のテーマ―――――May,2005――┐
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| 小津の秋 |
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| 第3回: 小早川家の秋 |
└――――――――――――――vol.51――┘
まずは今週の作品『小早川家の秋』のデータとレビューです。
<データ>
1961年、宝塚映画製作(東宝配給)、103分、カラー、スタンダード。
監督:小津安二郎
製作:藤本真澄
金子正且
寺本忠弘
脚本:野田高梧
小津安二郎
撮影:中井朝一
音楽:黛敏郎
録音:中川浩一
照明:石井長四郎
美術:下河原友雄
編集:岩下広一
出演:原節子
司葉子
新珠三千代
中村鴈治郎
小林桂樹
森繁久彌
加東大介
浪花千栄子
団令子
杉村春子
山茶花窮
宝田明
白川由美
東郷晴子
藤木悠
島津雅彦
笠智衆
望月優子
<評価>
名画度 ☆☆☆☆☆☆☆☆
傑作度 ☆☆☆☆☆☆☆
*「名画度」は一般的に名画といわれるレベル、「傑作度」は私の個人
的な評価です。ともに10点満点。
<プレビュー>
代々の造り酒屋である小早川(こはやがわ)家では万兵衛が引退し、長女の
婿である久夫が店を継いでいたが、合併話が持ち込まれていた。一方なくなっ
た長男の嫁である秋子と末娘の紀子の縁談が進められようとしていたが、二人
ともあまり乗り気ではなく、秋子に知り合いの磯村を紹介した万兵衛の義弟弥
之助は気をもんでいた。そして元来が道楽者の万兵衛はこのところいそいそと
どこかに出かけ、家族に心配をかけていた…
小津が松竹から離れて撮った3本目の作品。宝塚映画創立10周年作品で名だ
たるスターが出演者に名を連ねる豪華キャストとなっている。
<レビュー>
まずこの作品は、最初に登場するのが森繁久彌であるというのも印象的で、
出演者が多彩である。この作品を製作したのは宝塚映画で松竹ではない。だか
ら、松竹の役者を中心に使わなくてもいいというわけで、特に脇役などに小津
作品になじみのない役者が登場する。もちろん中心的な人々も新珠三千代や小
林桂樹などいつもの小津の作品とは少し違うという感じがする役者が登場する
わけだ。
もちろん、どこの会社で撮ろうとどんな役者を使おうと、小津は小津で、小
津以外の何者でもないのだが、それでもこれだけ芸達者な役者が集まるといろ
いろと個性が衝突する場面が出てくる。なかでも森繁久彌はいわゆる小津の世
界とは一味違った違った雰囲気を醸し出す。その個性の強さからか登場シーン
は少なく、絡んでいく役者も加東大介だけになってはいる(なんとなく加東大
介とフランキー堺がダブって見えてくるが…)。加東大介は小津映画にもたび
たび登場する役者で、見た目では灰汁が強そうだけれど、実は臨機応変に映画
にぴたりとはまる演技を見せる。それでいて個性を失うこともなく、まさに名
脇役である。その加東大介が森繁のサポート役として笑いの相方を務め、かつ、
森繁の独特な雰囲気を和らげてなんとか映画にはめ込んでいる。
しかし、それでも森繁はなかなか小津の世界にはまらない。それは森繁も小
津も根本的にところで喜劇人だからなのかもしれない。しかも小津の笑いと森
繁の笑いの質は微妙に違う。だから、森繁がらしさを発揮すると小津の世界か
らははみ出してしまうわけだ。それでも彼は登場するシーンで笑いを振りまく。
小津の笑いと不協和音を響かせながら、喜劇役者としての本領を発揮するので
ある。しかし、これはこれで面白い。
その森繁とは対象的に新珠三千代は見事に小津映画にはまる。新珠三千代も
森繁と同じく、小津作品にはこの映画一本しか出ていない。しかし、それを感
じさせないほど小津世界にはまっている。非常に地味な役回りではあるが、主
人公の姉妹の例に漏れず文子という名を与えられ、物語の中心になる人々(原
節子、司葉子、中村鴈治郎)をうまく捌いているように見える。
主人公の1人である司葉子と中村雁治郎もそれほど多く出演しているわけで
はないが、司葉子は原節子に代わる娘役としてはまり役だし、中村鴈治郎は小
津が大映で作った『浮草』でも好々爺を演じているから、この役にもピタリと
はまる。
脇役では杉村春子と加東大介以外ではいつもの脇役の顔が見えず、全体的な
雰囲気が違っている感じがする。しかし、大映の名脇役である山茶花究が重要
な役どころで登場していて面白い。
!! というように続きます… !!
<メディア情報>
DVD
http://amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0000ZP474/hibikoreeiga-22
┌――今月のテーマ―――――May,2005――┐
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| 小津の秋 |
└―――――――――――――――――――┘
第3週目の今週は、いよいよ読み物の1本目、今回取り上げた4本を中心に
戦後に入ってからの作品群が象徴する“季節”についてのお話です。
題して 「小津の映画は秋に向かって」 です。
小津のフィルモグラフィーを見ると、戦後には季節を感じさせるタイトルの
作品が多くなる。そのうち、『晩春(49)』『麦秋(51)』『早春(56)』は春から
初夏にかけての季節、『彼岸花(58)』と最後の3作品となった『秋日和(60)』
『小早川家の秋(61)』『秋刀魚の味(62)』は秋を感じさせる。その季節は時が
たつにつれて基本的に春から秋へと深まって行く。
小津安二郎は(特に戦後は)自分の年齢に合わせて、映画の題材を選び、そ
の登場人物の誰か(主に笠智衆)に自分を重ね合わせて描いて行く。そのとき、
その年齢にまつわる様々な事柄が持つ雰囲気を季節に重ね合わせて考えたので
はないかと思う。50年前後のまだ若いときには春のイメージ、60年代に入る晩
年(なくなったのが60歳だから、50代で晩年というのもどうかと思うが)には
秋のイメージで作品を作っていたのではないかと思う。だから『麦秋』の笠智
衆は若き父親であり、ドラマが展開されるのはその父と妹という父娘の間であ
る。しかしその2年前の『晩春』ですでに老境に入った父親を演じているから、
必ずしもかっきり年齢どおりというわけではないのは当然だが、この『麦秋』
の枯れた父親を演じるには笠智衆はさすがに若すぎたし、小津もこの父親に自
己を投影してはいないだろう。だからこの作品のタイトルは初夏を表す『麦秋』
なのであり、『麦秋』の年齢を象徴する存在はやはり笠智衆なのである。それ
に対して『晩春』では笠智衆は老境に入った父親を演じたとはいえ、それは
『麦秋』の父親ほどに枯れた存在ではない。それは、晩春という春の終わり、
うららかな春が終わる寂しさと、これからやってくる夏への気持ちの高まりの
両方を孕む感覚なのではないか。
!! というように続きます… !!
------ 来週は ---------------------------------
第4週 『秋刀魚の味』 です。
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日本名画図鑑第五十一号
2005年5月20日発行
発行:cinema-today
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