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映画の○○年

映画の1919〜1920年

映画の1919年 - ハリウッド・メジャーの成立

 アメリカではこの年、ユナイテッド・アーティスツ社が設立されている。ユナイテッド・アーティスト社はチャプリンメアリ・ピックフォードダグラス・フェバンクスという3大スターと契約し、アメリカ映画がスターによって展開して行くことを内外に示した。
  チャプリンはこの年『サニーサイド』『一日の行楽』といった作品を撮るが、それを最後にいったん活動を休止し、初の長編である『キッド』の準備に入った。
  また、パラマウントと契約を結んでいた大劇場主のマーカス・ロウがパラマウントと決別し、メトロ社、ゴールドウィン社と組んでMGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)を設立したのがこの年である。これにより、現在のアメリカ映画界のメジャーはほぼ出揃ったことになった。

 ヨーロッパでは第一次大戦が終結し、映画産業も再び国際市場へと開かれた。その中でドイツ映画が頭角を現し、国内で定評を得ていたルビッチの『パッション』やロベルト・ウイーネの『カリガリ博士』が他のヨーロッパ各国に輸出された。
  低迷が続いていたデンマークではカール・ドライヤーが監督としてデビューし、復権に向けてスタートした。ロシアでは内戦により、フィルムの供給がストップしていた。

 日本では、依然として好景気が続き、日活、天活とも盛んに製作を行ったが、これという作品はでていない。そんな中この年の末、国際活映(国活)が設立され、日本の映画界は新たな局面を迎える。

1919年の主な作品

『一日の行楽』 監督・出演:チャールズ・チャップリン
『散り行く花』 監督:D・W・グリフィス 出演:メアリ・ピックフォード
『パッション』 監督:エルンスト・ルビッチ
『サタンの書の数ページ』 監督:カール・ドライヤー
『夫を変へる勿れ』 監督:セシル・B・デミル 出演: グロリア・スワンソン

映画の1920年 − アメリカ映画の危機

 第1次世界大戦が前年に終わったことで、世界はようやく平和を享受していた。しかし、終戦直後からの不況の影響もあって、映画界には厳しい年となった。

 アメリカでは未曾有の不況により、成長を続けてきた映画産業も頭を打ち、観客数も興行収入も減少した。その中で明るい話題といえば、ダグラス・フェアバンクスとメアリ・ピックフォードという2人の大スターの結婚だった。この結婚が大きな話題となったことに象徴されるように、アメリカ映画界はすでに完全にスターの時代に入っていた。
  この年、そんな大スターの仲間入りをしたのがルドルフ・ヴァレンチノである。1918年頃から映画に出始めた彼はこの年『シーク』に主演、この作品は大ヒットしヴァレンチノのエキゾチックな容姿が映画ファンを魅了した。また、ダグラス・フェアバンクスも『奇傑ゾロ』をヒットさせて健在を示した。
  喜劇ではバスター・キートンが初の長編『馬鹿息子』を制作、チャップリンも初の長編『キッド』の制作に入るなど、喜劇スターの長編への進出が目立った。
  その他、名作といわれる作品にはJ・F・クーパーの開拓小説を映画化した『モヒカン族の最後』(92年に『ラスト・オブ・モヒカン』として再映画化されたのが有名)、D・W・グリフィスの『東への道』などがある。

 ヨーロッパでは、ドイツ映画が大きく躍進していた。その代表はなんと言ってもローベルト・ヴィーネが監督した『カリガリ博士』である。これはドイツ表現主義時代の始まりを高らかに宣言する作品であり、これ以降の多くの映画(特にフィルム・ノワールやホラー映画)に大きな影響を与えた。この作品は当初フリッツ・ラングに監督を依頼したのだが彼は『蜘蛛』の製作中だったため断ったという。
  またこの年、エルンスト・ルビッチは『寵姫ズムルン』など、F・W・ムルナウは『ジェキル博士とハイド氏』などを監督、カール・ベーゼとパウル・ヴェーゲナーが共同監督した『巨人ゴーレム』も名作として挙げられる。また、山岳映画の始祖アルノルト・ファンクが初の長編『スキーの驚異』を制作してもいる。
  フランスでは印象主義映画が新しい潮流として注目を集めたがまだまだ世界市場で通用するものにはなっていなかった。デンマークではカール・ドライヤーが活躍、ソヴィエトでは内戦の影響で映画制作がストップしていた。

1920年の主な作品

『カリガリ博士』 監督:ローベルト・ヴィーネ
『シーク』 出演:ルドルフ・ヴァレンチノ
『奇傑ゾロ』 出演:ダグラス・フェアバンクス
『馬鹿息子』 出演:バスター・キートン
『モヒカン族の最後』 出演: ウォーレス・ビアリー
『東への道』 監督:D・W・グリフィス 出演:リリアン・ギッシュ
『巨人ゴーレム』 監督:カール・ベーゼ,パウル・ヴェーゲナー
『ジェキル博士とハイド氏』 監督:F・W・ムルナウ
『牧師の未亡人』 監督:カール・ドライヤー