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レイチェルの結婚

露わになる感情のとげとげしさが突き刺さる家族ドラマ
★★★.5-

2010/3/31
Rachel Getting Married
2008年,アメリカ,112分

監督
ジョナサン・デミ
脚本
ジェニー・ルメット
撮影
デクラン・クイン
音楽
ドナルド・ハリソン・Jr
ゼファー・タウィル
出演
アン・ハサウェイ
ローズマリー・デウィット
ビル・アーウィン
トゥンデ・アデビンペ
マーサー・ジッケル
デブラ・ウィンガー
preview
 麻薬中毒の矯正施設から出たキムは姉のレイチェルの結婚式に出席するため実家に戻る。久しぶりの家も結婚式の準備でたくさんの人が行き来していて落ち着かない。そして、家族もキムを腫れ物に触るように扱うが、それには理由があった…
 アン・ハサウェイが複雑な過去を抱える主人公を熱演した家族ドラマ。監督は『フィラデルフィア』のジョナサン・デミ。
review

 なんともいたたまれないというか、非常につらい気分になる映画だ。題材は結婚、このめでたい日に麻薬中毒の矯正施設から妹が出所する。態度はとげとげしいが、中毒はきれいに抜け、姉のためにちゃんとしていたいという態度が見える。それならば、感動的な家族愛を描いた物語になりそうなのだが、そうはならないのだ。

 この家族、姉レイチェルと妹のキム、父親のポールとその後妻のキャロル、母親のアビーのこころにはずーっととげが刺さっているように見える。一緒の時間をすごし、親しげな様子を示していても、どこかに壁のようなものがあり、冷たい空気が流れる。そしてそのような空気を生み出している棘はキムであるようなのだ。

 観客は最初はそれが彼女の麻薬中毒のせいなのだろうと考える。しかし、それだけではない、それ以上のものがキムにある。そして、家族に重くのしかかるその過去が明らかになっていくと、本当にいたたまれない気持ちになる。

 レイチェルのキムに対する態度は本当に冷たい。見ていてそこまで言うことはないじゃないか、と思ったりする。しかし、そこに隠された、というか秘められた感情が明らかになると、その意味が見えてくる。それが見えてきたとしても、このレイチェルの態度はどうかと思うが、それが彼女の人間性なのだから仕方がない。

 この映画描くのは、どうにもできない過去にとらわれてしまった家族のそれぞれのリアルな心である。もはや修復不可能なほどに引き裂かれてしまった家族、しかしそれでもどこかで繋がらざるを得ないし、つながっていたいとは思っている。その感情が映画全体にに満ちている。そこは非常にいいと思った。

 ただ、家族に対して自分の感情を露な言葉にしてぶつけていくというあり方にどうもなじみにくさを感じた。これはアメリカ人と日本人の感じ方の違いなのかも知れないが、自分の感情を説明するように相手と言い合うというのがどうもリアリティを感じられない。

 それよりは、言葉にならない間だとか視線に宿るためらいや敵対心や後悔や絶望といった感情にリアリティを感じる。その感情がぶつかるところに見えない壁が出現するように思えるのだ。

 おそらく人によって感じ方は違うと思うが、私は言葉によって感情が露になる部分にすごくストレスを感じた。まあそのストレスがこの映画全体のいたたまれなさをさらに強めることになっているから、映画としては効果的な表現だといってもいいのかもしれないし、違う感じ方をする人なら、そこにこそリアリティを感じるのかもしれない。

 とにもかくにも、露になる感情のとげとげしさが突き刺さる、秀逸な映画であることは間違いない。理解できるか、リアリティを感じられるかはまた別の話。

Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ2001年以降

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