縞模様のパジャマの少年
2010/2/10
The Boy in the Striped Pyjamas
2008年,イギリス=アメリカ,95分
- 監督
- マーク・ハーマン
- 原作
- ジョン・ボイン
- 脚本
- マーク・ハーマン
- 撮影
- ブノワ・ドゥローム
- 音楽
- ジェームズ・ホーナー
- 出演
- エイサ・バターフィールド
- ジャック・スキャロン
- アンバー・ビーティー
- デヴィッド・シューリス
第二次大戦下のドイツ、8歳の少年ブルーノはナチスの将校である父の異動に伴って田舎に移り住む。そこはユダヤ人の強制収容所の近くで、ブルーノは強制収容所を「縞模様のパジャマの人たちがいる農場だ」と考える。そして、探検に出かけたブルーノはユダヤ人の少年のひとりと友達になるが…
『ブラス!』のマーク・ハーマン監督がふたりの少年を通してナチスドイツを描いたヒューマンドラマ。最後がいい。
8歳のブルーノはナチスの将校の息子だが、ナチスのこともユダヤ人のことも何も知らない。父親が強制収容所の所長となり、収容所の近くに引っ越しても、何故ユダヤ人たちが縞模様のパジャマを着ているのか理解できない。そんな彼が収容所の少年の一人シュムエルと友達になる。シュムエルも多くは語らないが、ブルーノは徐々にいろいろなことを知ってゆく。
約90分のこの作品の最初の60分ははっきり言って退屈だ。ナチスとユダヤ人の迫害・虐殺については何度語っても語りすぎということはないのだが、それにしてもすでに語りつくされていることが繰り返されているに過ぎない。つまらないわけではないが、既視感もあるし、どのように展開していくのかもわかってしまうので、新しい映画を見ているというワクワク感は沸いてこない。
そんな状況の中、ナチスの将校の息子とユダヤ人の少年が仲良くなっていくわけだが、その仲良くなっていく状況やそこに存在するはずの葛藤が描かれていないのも残念だ。いくらブルーノに友達がいないからといって、同じ年齢だと言うだけで有刺鉄線を挟みながら容易に友情を育めるだろうか?このふたりが惹かれあっていく過程というのを描きこんでいかないと説得力がない。
それに、いくら子供とは言っても二人が置かれている状況はうすうす感じているはずだし、特にシュムエルは収容所に入れられ、親と引き離され、強制労働につかされているわけだから無邪気にいかにもドイツ人の子供と仲良くするとは限らない。
ということでなかなか納得できないまま話は進むのだが、最後には驚きの展開が待っている。いや、終盤に差し掛かったところで展開自体はある程度予想がつくのだが、予想がついたとしてもそこには衝撃がある。そして、この結末のつけ方はすごくいい選択だったと私は思う。中には拒否反応を起こす人もいるかもしれないが、拒絶反応を起こすくらいの衝撃があるからこそ説得力もあるのだ。
この結末によって、それまでの退屈で凡庸な映画の印象ががらりと変わる。すべてのシーン、すべての言葉の持つ意味が変わってくる。特にシュムエルがブルーノに抱いていた感情は一体どのようなものだったのかと…
この映画は恐ろしい。見終わった後にその恐ろしさがじわじわとわいてくる。ユダヤ人を次々とガス室に送ったナチスの恐ろしさはもちろんだが、それは果たしてナチスに特殊なことだったのか、人間とは本来的にどれくらい残酷な生き物なのか、そんな問いかけがエンドロールを見ることには頭に去来する…
つまらなくても最後まで我慢してみればそんなラストが待っている。可もあり不可もある映画。
