レッドクリフ Part II ─未来への最終決戦─
2010/2/4
Red Cliff: Part 2
2009年,アメリカ=中国=日本=台湾=韓国,144分
- 監督
- ジョン・ウー
- 脚本
- ジョン・ウー
- チャン・カン
- コー・ジェン
- シン・ハーユ
- 撮影
- リュイ・ユエ
- チャン・リー
- 音楽
- 岩代太郎
- 出演
- トニー・レオン
- 金城武
- チャン・フォンイー
- チャン・チェン
- ヴィッキー・チャオ
- フー・ジュン
- 中村獅童
- リン・チーリン
時は三国時代、絶大な勢力を誇る曹操と対抗するために手を組んだ孫権と劉備はいよいよ赤壁で80万の曹操軍をわずか5万で迎え撃とうとしていた。しかし、曹操の非道な戦略により両軍には疫病が蔓延、劉備軍は兵を引くことに。劉備軍の天才軍師孔明だけは孫権軍に残ったが…
三国志のクライマックスのひとつである「赤壁の戦い」を描いた『レッド・クリフ』の後半、前半に続いて後半もアクション中心なのはやはりジョン・ウーだからか。
周喩と孔明という天才軍師2人が手を組んだ赤壁の戦い、それを描くのならやはり、劉備孫権連合軍に勝利をもたらした策略が最大の見所になるはずだ。前半を描いたPart1はその同盟が成立しいよいよ連合して曹操と対峙しようというところまでを描いたものだから、それぞれが曹操と戦うその戦いが中心となり、軍師も活躍するもののそこはやはり戦場で活躍する猛者たちが主役になるだろう。
ならば後半となるこのPart2はいよいよ策略家の頭脳戦で見せてくれるのだろうと期待する。確かに前半はその色彩が濃い。敵軍に疫病を流行らせようという曹操の策略、10万本の矢を3日間で集めるという孔明のアイデア、さらには曹操が周喩の幼馴染の武将を使いとして送り、腹の探り合いをするというあたり、その辺の力によらない戦いは面白い。形勢がどちらに優位になるか、それを決めるのは実践に入る前の策略なのだ。
ただ、後半から終盤、実際の戦闘に入るとどうにも面白くなくなってしまう。ただただ斬りあい、火を放ち、馬で蹴散らす。戦術のようなものも見え隠れするが、最終的に雌雄を決するのは心意気とでもいう感じでただただ力と気合をぶつけ合うだけだ。しかもこの戦闘シーンがかなり長い。最後の30分はとにかく戦う。しかもどちらの軍なのかを明確に示す目印がないから、注意してみないとどっちがどっちなのかわからなくなってしまう。
この戦闘シーンにももっと戦略的なものが入り込んで来たらよかった。楯で固めた方形陣で進軍するなんてのもひとつの戦略だがなかなかあっと驚くようなものがなく、やはり戦略云々よりも最後は根性みたいな感じがしてどうも納得できない。
もうひとつ、この作品で重要そうなのは、曹操軍に間者として入り込んだ孫尚香(孫権の妹、劉備の妻)が曹操軍の一隊長と仲良くなるというエピソードだ(孫尚香は兵士の一人に身をやつしている)。このエピソードが示すのはおそらく敵同士であっても互いを人間として尊重できるということだろう。戦場では敵同士でも同じ人間、一対一で会ってみればまったく変わることのない人間だということだ。
そしてそのような考え方が作品全体に及んでいると考えられるのは、劉備孫権軍の武将たちは敵の兵であっても人が死ぬのを見るときには哀しい表情を浮かべるところによる。まあ、言いたいことはわかるが、果たしてここまでスペクタクルのハリウッド超大作にこんなスペクタクルが必要だったのかという疑問はある。
もちろん原作があるものだし、時代による価値観の違いもあるし、なかなか現代の人々が観て楽しみつつ納得もできる物語をつむぐというのは難しいだろう。しかしわざわざ2部作にし、2人の天才軍師を主役に据えたのだから、もっと彼らの戦略をじっくりと描き、そこから教訓じみたものなり、現代に生きるわれわれに届くようなメッセージなりが発せられたらよかったのではないかなどと思う。
ただのアクション映画としてみればそれなりに楽しめるのかもしれないがなまじっか三国志を知っていると今ひとつ楽しめない、そんな感じもした。
