ハッピーフライト
2010/1/31
2008年,日本,103分
- 監督
- 矢口史靖
- 脚本
- 矢口史靖
- 撮影
- 喜久村徳章
- 音楽
- ミッキー吉野
- 出演
- 田辺誠一
- 時任三郎
- 綾瀬はるか
- 吹石一恵
- 田畑智子
- 寺島しのぶ
- 平岩紙
- ベンガル
- 岸部一徳
憧れの国際線のCAになり、初登場に望む斉藤悦子と機長昇格の採取試験となるフライトに望む副機長の鈴木和博が乗ることになった羽田発ハワイ行きの全日空1980便、ダブルブッキングや客のクレームにも何とか対応し、無事離陸したのだが、今度はバードクラッシュの危険が迫る…
ANAの全面協力を得て、矢口史靖監督が豪華キャストで取り上げた機上エンターテイメント。一つ一つの小さなエピソードは面白い。
全体的な感想はまあまあ、というところ。機長への昇格に望む副機長を演じた田辺誠一のアップアップな感じや、新人CAを演じた綾瀬はるかのおとぼけな感じ、CA同士の関係性、ありがちな客達、そのそれぞれはなかなかうまく描けているのだけれど、それが全体的に化学反応を起こして盛り上がって行くわけではないのが残念。
飛行機内だけでなく、グランドスタッフや管制官、整備員など普段は見られない役回りの人たちが活躍するのも面白いし、少々マニアックな知識も盛り込まれているので楽しめることは確かだ。しかもその役の一つ一つにいい役者が配置されていて安心して見ることができる。
だが、矢口監督は一作ごとにパワーダウンしてしまっているように思える。『裸足のピクニック』や『ひみつの花園』の頃のパワーがメジャーになった今では出せないのはわかるが、『ウォーターボーイズ』でヒットを飛ばして以降はヒットを期待されているからなのかもしれないが、無難な選択が目立ち、意外性という面白みが減じてしまい、映画が匂い立つ瞬間がほとんどなくなってしまったように思う。
この作品でそんな瞬間が見えたのは、飛行機に引っ付いたカモメが映し出された瞬間と、田畑智子演じるグランドスタッフがハンドマイクを手にバスを追いかける瞬間くらいではないか。
このグランドスタッフを演じた田畑智子はとてもよかった。他の役者も(綾瀬はるかを含めて)なかなか言い縁起をしていると思うのだけれど、みんなしっかりと型にはまっている感じがしてあまり面白みはない。それと比べると田畑智子が演じるキャラクターはすごく人間味があり、キャスティングもピタリとはまっているように思う。
グランドスタッフというのは華やかに見えながら結局のところ普通のサラリーマン、CAのように空を飛び回ることはない。しかしながら、飛行機に乗るお客さんが気持ちよく旅を出来るようにするという目的は同じだ。そんなグランドスタッフの一生懸命さと日常の不満、時には出会うわくわくするような体験、そんなものがほんわかとした雰囲気の中から漂ってくるのがとてもいい。
CAやパイロットが主役の物語なんてのは誰でも思いつくし、これまでもいろいろ作られてきたのだから、地上係員を主役にした物語にすればよかったのに。矢口監督がこれまで成功してきたのは男子シンクロみたいな珍しいもの中に普遍的な物語を見出して来たからのような気がする。オーソドックスな材料ではそれが生きない、そんな気がした。
次回は田畑智子主演でグランドスタッフが主役の映画を是非!
