チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室
2010/1/21
Charlie Bartlett
2008年,アメリカ,97分
- 監督
- ジョン・ポール
- 脚本
- ガスティン・ナッシュ
- 撮影
- ポール・サロッシー
- 音楽
- クリストフ・ベック
- 出演
- アントン・イェルチン
- ホープ・デイヴィス
- カット・デニングス
- ロバート・ダウニー・Jr
大金持ちのチャーリー・バートレットは免許書の偽造で名門私立高校を退学になり、公立校に通うことになった。最初は馴染めなかったが、かかりつけの精神科医にもらったクスリを使って生徒の相談を受けるようになってから人気を集めるように…
人気上昇中のアントン・イェルチン主演の学園コメディ。全体的にまあまあというところか。
アメリカの学生の“人気者”信仰というのは本当に異常だと思う。日本でも十代というのは周囲の評価と言うのが絶対的に重要ではあるが、ここまでではなかろうと思う。そして、その“人気”をめぐる映画もたくさん作られ、たいていはセックスかドラッグかその両方が絡んでくる。
この映画の主人公チャーリーもそのように“人気”を集めたいと思っているひとりなわけだけれど、どうもこのチャーリーが不思議。人気者になりたいと思っているようなのだけれど、必死なわけではなくむしろ自然体でどんなことにも動じない。家は大金持ちだし頭もいいのだけれど、それを自慢したりそれをコンプレックスに感じたりと言うこともない。
彼は精神科医を騙して処方薬を手に入れ、同級生たちに勝手に処方して売りさばくわけだけれど、それとていったい何が目的なのか、彼は結局何を求め、どこに周囲との齟齬があり、オトナたちは彼の何を問題視しているのか、その辺のところがなんだかよくわからない。
それでも彼は何のかんのと事件を起こし、恋をしてともだちも作って、いろいろなことが起きる。その一つ一つの局面というのは青春コメディらしいさわやかさと面白さに満ちていて見ていて楽しいものだ。
チャーリーの恋人になるスーザンの父親でもある校長の存在も面白い。彼自身が離婚をし、年頃の娘を抱えて校長として悪戦苦闘する毎日、その中にさらにチャーリーという頭痛の種がやってくる。彼は子供にも生徒にも理解のあるいい先生なのだけれど、それだけに問題をどんどん抱え込んで言ってしまう。
私なんかはむしろこの校長を主人公にすえたら面白いんじゃないかと思うのだが、それは高校の記憶が遠い昔に過ぎ去り、中年の悲哀というものが手に届くところまで来てしまったからなのかもしれない。
とにかく、チャーリーにしても校長にしても面白い要素はあるのだが、今ひとつそこに踏み込みきれていないというか、それぞれの心の葛藤が描ききれていないという印象がある。何か決定的なものがかけている、そんな感じがする。
よく考えたら、チャーリーが金持ちだという条件は別に不要だったのではないか。別に金持ちでもいいが、大金持ちである必要はなかった。必要なのは彼のさまざまな行動がお金儲けのためではなく、自己実現のためだったということの後ろ支えであるということだけなわけだ。
それも含めて、全体的に一つ一つのピースは面白いのだけれど、それがうまく組み合わさらないという感覚がずっと付きまとっていた。それはそれで見終わった後ボーっと考えてしまうという効果を生むものでもあるのだけれど、だから何なんだという気もしてしまったり…
まあ、いいか。そこそこ面白かったし。
