ブルー・ゴールド 狙われた水の真実
2010/1/14
Blue Gold: World Water Wars
2008年,アメリカ,90分
- 監督
- サム・ボッゾ
- 原作
- モード・バーロウ
- トニー・クラーク
- 撮影
- サム・ボッゾ
- 音楽
- ハンネス・ベルトリーニ
- トマス・アイヒンガー
- 出演
- モード・バーロウ
- トニー・クラーク
- マルコム・マクダウェル(ナレーション)
アフリカの国々などで飲み水を手に入れることの出来ない人々がいる一方で、私たちは外国からボトル入りの飲み水を買っている。世界に存在する水の問題、それは単なる水不足や貧富の差という問題では無く、より深く世界の構造にかかわる問題だった…
モード・バーロウとトニー・クラークによる「『水』戦争の世紀」をベースに「水」をめぐるさまざまな問題を掘り下げたドキュメンタリー。

映画(特にドキュメンタリー映画)と、今社会で問題になっているトピックとの間には常に密接な関係がある。観客となりうる人たちが興味を持っている問題を題材とすれば客が入るからであり、それで客が入れば、その問題についての自分の意見を広めることができるからである。そんな映画として真っ先に思い浮かぶのは『不都合な真実』だろう。地球温暖化問題を扱った映画の金字塔、この作品はアメリカを中心に、「普通の」人たちに温暖化問題への意識を顕在化させた。
銃社会アメリカを問題化した作品といえばマイケル・ムーアの『ボウリング・フォー・コロンバイン』、この作品はアメリカという社会の構造を世界に知らしめた。
あるいは問題となるべきトピックを社会化させる場合もある。『ボウリング・フォー・コロンバイン』にはそのような要素もあり、マイケル・ムーアはその後も『シッコ』など問題意識を喚起する作品を作り続けているわけだが、そんな問題提起型の映画の最たるものは『スーパーサイズ・ミー』ではないだろか。マクドナルドを毎日食べ続けることでファーストフードの健康に与える影響を社会に問いかけたこの作品のインパクトはすごかった。
『不都合な真実』が製作されたのは2006年、それから4年、地球温暖化問題はすでに国際社会が取り組む問題になり、映画としてはもはやホットなトピックではなくなってしまったようにも感じる。
そんな中、この『ブルー・ゴールド』は「水」という新たな問題をわれわれに投げかける。水自体は新しい話題ではない。安全な水を飲めない人たちが世界にはたくさんいるということはよく知られているし、子供のころから「水を大切にしなさい」と言われて来た。しかし今、水問題は新たな段階に入り、これが近い将来世界を巻き込んだ大きな紛争あるいは少なくとも摩擦につながる。
この映画が描くのはそんな世界にしないために知っておくべき「水の真実」である。
「水」について語るとき、まず問題になるのは飲み水だ。水を飲めなければ人間は死んでしまう、だから安心して飲める水を手に入れる権利は万人に保障されるべきだと。この映画はなぜその権利を享受できない人が出てきてしまうのかということを一つ一つ解きほぐしていく。
ここではこの映画が語る内容については書かない。それはこの映画を見て知って考えて欲しいからだ。ここで書くべきなのは、まずこの映画が私たちが考えるために必要なさまざまな知識を与えてくれると言うことだ。そしていま水について世界が抱える問題についてどのように考えればいいかの道筋をも示してくれるということだ。
飲むことのできる水の大半が農業用水や工業養子意図して利用されているという事実、物の製造に必要な水の量(たとえば石油1バレルの製造に必要なのは320~1000リットル)から水の配分の不平等を明らかにするヴァーチャルウォーターという考え方、さらにはダム、淡水化といったトピックを提示して、その一つ一つについて考えさせる。
そして、最後には水メジャーという最大の問題が立ちはだかる。スエズ、ヴェオリアといった多国籍企業の存在は国、市民、国際組織を巻き込んだ複雑な問題を生み出している。水は一体誰のもので、誰がどのように管理すればいいのか、この問いに対するしっかりとした答えを見つけなければ、水はまもなく危機を迎える。

