オリンダのリストランテ
2010/1/6
Herencia
2001年,アルゼンチン,96分
- 監督
- パウラ・エルナンデス
- 脚本
- ニック・シェンク
- 撮影
- ビクトール・ゴンサレス
- 出演
- リタ・コルテセ
- アドリアン・ウィツケ
- マルティン・アジェミアン
- エクトール・アングラーダ
ブエノスアイレスに人を探しにやってきたドイツ人のペーターは安ホテルで有り金を全部盗まれ、たまたま知り合ったリストランテの女主人オリンダを頼る。人探しを続けながら店を手伝ううちにペーターもオリンダも自分を見つめなおすようになって…
アルゼンチンの小品、何も起こらないが、だからこそ見えてくる風景がある。
1年以上前に出会った女の子を探しにブエノスアイレスへとやってきたドイツ人の若者ペーター、ブエノスアイレスで食堂を切り盛りする中年女性オリンダ、このふたりが出会い、それぞれがそれぞれの人生を見つめ直すことで物語が展開されてゆく。
この物語は、ペーターとオリンダのふたりが二人とも主人公だといえる。ペーターはオリンダのレストランに居候し、つまりふたりは一つ屋根の下に暮すことになるわけだけれど、ふたりの間の会話が描かれることは驚くほど少ない。ペーターはペーターで外に人探しに行き、オリンダはオリンダで店を切り盛りし、店を売るかどうかという問題に頭を悩ませる。
しかし、ふたりはともに互いの存在に触発されてさまざまなことを考える。そして、オリンダが実はイタリアからペーターと同じように人を訪ねてブエノスアイレスへやってきたということが明らかになる。数十年という時間は空いたけれど、同じように外国からブエノスアイレスへとやってきた二人、オリンダはペーターに昔の自分を見、ペーターはオリンダに未来の自分を見る。
この短い親密な時間が中盤にあって、またふたりの物語は離れて行く。ペーターはオリンダの店で出会ったルスとの関係が始まり、オリンダは生まれ故郷の自身のニュースに心を痛める。
この映画がつむぐ物語はこれでほとんど言い尽くしただろう。あとはオリンダの長年の友人フェデリコとオリンダの店でバイトをするアンヘルがふたりにかかわってくるくらいだ。
そして、こんな何も起こらない物語だからこそふたりの心のうちがじんわりと滲み出してくるように見える。レトロな雰囲気の映像と音楽もそれを助ける。楽しくも悲しくも切なくも無い、あくまでも日常の延長であるけれどそれがなんだかいい。
アルゼンチン、しかもブエノスアイレスというと南米でも最もヨーロッパ的な雰囲気のところだと聞く。そこでイタリアからやってきたオリンダとドイツからやってきたペーターが主人公となった物語が展開されるから、いやおう無くヨーロッパ的な雰囲気になるのだろう。だからブラジル映画やメキシコ映画のようなラテンアメリカ色の濃い映画よりも日本人に受け容れられやすいということもあるかもしれない。
でてくる食べ物が基本的にイタリア料理っぽいということもあるのかもしれないが、この映画もどこかイタリアかフランス映画のような雰囲気を持つ。その辺りのドラマが好きな方にはピタリと来る映画だと思う。
