座頭市関所破り
2009/12/15
1964年,日本,86分
- 監督
- 安田公義
- 原作
- 子母沢寛
- 脚本
- 浅井昭三郎
- 撮影
- 本多省三
- 音楽
- 小杉太一郎
- 出演
- 勝新太郎
- 高田美和
- 滝瑛子
- 平幹二朗
- 河野秋武
妙義山のご来光を拝もうと笠間の宿へ向かう市は旅人に笠間の旅籠むさし家の女中お仙に文を頼まれる。その笠間では強欲な代官ら人々は苦しめられていた。市はむさし家でそんな代官らの行状を直訴するために旅立った庄屋の娘お咲に出会う…
勝新主演「座頭市」シリーズの第9作、名の知れた存在になった市をめぐって練られた脚本がいい。
座頭市はヤッパリ格好いい。勝新が格好いいというよりは座頭市が格好いい。もちろんその座頭市というのは勝新が演じていなければならないので、結局のところ勝新が演じる座頭市が格好いいということなのでけれど、言いたいことを的確に表現するならば「(当然のことながら勝新が演じている)座頭市が格好いい」ということだ。
市のやや前かがみの立ち方、少し後掲しがに股で歩くその歩き方、時にうっすらと瞼を持ち上げる表情、第9作に当たる今作ではそれらすべての立ち居振る舞いがすでに完成されている。市は市、それ以外の何者でもないキャラクターとして確立されているのだ。
そんな市を主人公にしたこのシリーズに失敗作は生まれない。マンネリ化はするかもしれないが、座頭市がいる限り失敗作にはならないのだ。この作品を見てそのことを確信した。実際、映画だけで25作を数えるこのシリーズに失敗作はない(見た限りでは)。
というわけで座頭市がいればそれでいいのだが、それでもやはりしっかりとシナリオを練ってくるのもまたいいところ。悲劇のヒロインが登場し、ライバルの剣士が登場するという展開はワンパターンで、どんな展開になるのかは大体わかるわけだが、それでもそのヒロインが最後にどんな運命に導かれるのか、ライバルとの関係がどうなるのかは最後までわからない。偉大なマンネリの中で展開される小さなバリエーション、これがシリーズの面白さだ。
というわけであとは見ろ!としか言いようがないし、何を書いてもシリーズのほかの作品と変わらない内容になってしまうわけだが、今回はいい斬られ役がひとり目に付いたのでそのことを。こういう映画で斬られ役なんてものは目立っちゃいけないわけだけれど、今回は一人アップでとらえられる斬られ役の表情がよく、それが印象に残った。その表情は決して大げさではなく驚きを示したものだった。座頭市は座頭市として名を知られてもやはり座頭ということでどこかでなめられているのかなとその斬られ役の表情を見てふと思ったりもした。
でも、もしオレが悪代官の手下だったらとっととけつまくって逃げ出すけどね!絶対一太刀で斬られることがわかってるんだもの!
