サガン -悲しみよ こんにちは-
2009/12/11
Sagan
2008年,フランス,101分
- 監督
- ディアーヌ・キュリス
- 脚本
- ディアーヌ・キュリス
- マルティーヌ・モリコーニ
- クレール・ルマレシャル
- 撮影
- ミシェル・アブラモヴィッチ
- 音楽
- アルマン・アマール
- 出演
- シルヴィー・テステュー
- ピエール・パルマード
- ジャンヌ・バリバール
- アリエル・ドンバール
- リオネル・アベランスキ
18歳のときに書いた「悲しみよ、こんにちは」で華々しく文壇にデビューし、ベストセラー作家となったフランソワーズ・サガン、富と名声を手にしいい車や何人ものボーイフレンドを手に入れるが、同時に酒やタバコ、ギャンブルにもはまってゆく…
フランソワーズ・サガンの人生を描いた伝記映画。主演のシルヴィー・テステューはいい。
フランソワーズ・サガンといえば「悲しみよ、こんにちは」。今でも読み継がれる名作というのみならず、発売当時(1954年)からベストセラーとなり、その作者が18歳の少女ということで更なる話題を集めた。サガンはそのベストセラーによって巨万の富を得、放蕩三昧の生活を送るようになる。その後も作品は発表したが、処女作ほどの評価も売り上げも得られることはなかった。
この映画はそんなサガンの男たち(だけではない)と奔放な付き合いを続け、酒とタバコとギャンブルとドラッグに溺れる野放図な生涯を描く。ここに描かれるサガンはまさにイメージどおり、自己破壊的で壊れやすい女性である。その意味であまりこの物語に意外性はなく、伝記映画のひとつの売りともいえる新発見というようなものはない。
ただ、この作品は単にサガンの生涯を描こうという意図で作られたわけではなく、サガンという著名人を通して「孤独」について描こうとしたのだろうと思う。この作品を見る限り、サガンは非常な寂しがりやで、いつまでも一人で寝るのがいやなような人だったようだ。
どんなに有名になって常にとりまきを従えていても彼女は孤独を感じ続けていた。だから利用されているのだとわかっていても自分をおだてる人を常にそばにおいておいた。その彼女の孤独、それはこの作品からひしひしと伝わってくる。そしてそれを言葉によらず伝え続けたシルヴィー・テステューの演技は賞賛に値すると思う。
成功と富と名声とそして孤独、劇中でサガンはこのような言葉をつぶやく「お金は人を狂気に向かわせる 持つ者も持たざる者も」。サガンの孤独が深まった最大の要因はお金なのだろう。富を得ることによって人との間に常にお金が付きまとうようになってしまったサガン、どんなに人に囲まれても、その間にお金が存在し続け、孤独感を拭い去れない。
そんな彼女の人生は悲しみに満ちていただろう。くしくも「悲しみよ、こんにちは」という言葉で世に出た彼女は最後まで悲しみに「さようなら」を言うことができなかった。彼女のそんな悲しい人生を眺めるのはやはり哀しい。教訓も共感もないけれど、ある種の感情を引き出すという意味では力のある映画なのかもしれない。
果たしてサガンは孤独の人生に何を見出していたのか、「悲しみよ、こんにちは」以外の作品も読みたくなってきた。
