メタボ戦隊 アホレンジャー
2009/12/8
The Junior Defender
2007年,アメリカ,83分
- 監督
- キース・スピーゲル
- 脚本
- キース・スピーゲル
- 撮影
- マーク・ササハラ
- 出演
- アリー・シーディ
- ブライアン・オハローラン
- ジャスティン・ヘンリー
- ビル・レイモンド
- ジョン・ウォーターズ
70年代に一世を風靡し、社会現象にもなったヒーローものの『ジュニア・ディフェンダーズ』、それから12年、スターだった子役達もすっかり落ちぶれていた。しかし熱狂的なファンの一人ノーマンが彼らを誘拐し、番組を再開させるという計画を練り…
アメリカでオリジナルビデオとして制作された擬ドキュメンタリー・コメディ。下らないけどパロディと皮肉がいいところをついている。
子役時代に一世を風靡した役者達がおっさんになって番組を再開するというドタバタコメディかと思いきや、序盤はずっとその昔の番組がいかにすごかったかという証言をまとめた擬似アーカイブ・ドキュメンタリーになっている。そしてそこから展開するのは熱狂的なファンが役者たちを誘拐して無理やりに番組を再開させようと計画するという話。ニューイングランドからロサンゼルスに散らばった4人をキャンピングカーで拾いながら集めていくというわけのわからない話だ。
誘拐の対象もわかっているのだし、車だから移動に時間もかかるし、そんなんうまく行くはずがないというのが普通に考えるところだが、この映画は“メディア”をうまく使ってそこを料理する。つまりは誘拐騒動によってニュース番組の視聴率は上がり、世間では「ジュニア・ディフェンダーズ」への注目も集まり、みんなが万々歳だから、捕まえる必要はないということだ。
これはメディアに支配されたアメリカ社会に対する痛烈な皮肉だろう。警察やFBIすらもメディアの意向に逆らうことは出来ず、彼らはスタジオで見事撮影を敢行してしまう。右に倣えでみんなが下らないニュースを垂れ流す、そしてその戦略に見事に載ってしまう視聴者。この作品の舞台が80年代とされているところもなかなか絶妙ではないか。今となってはメディアも大衆に飽きられてそんなことも起こらないのだろうけれど、当時はありえたんだろうと日本を見ても思う。
そしてこの作品がすごいと思うのは、再開された「ジュニア・ディフェンダーズ」の質が恐ろしく低いということだ。演技もひどければセットもひどい。そんな質の恐ろしく低い作品を誘拐にはじまる演出によってヒット作としてしまったノーマンが時代の寵児としてもてはやされてしまうところに、マスコミと大衆への最大の皮肉が込められている。もはや重要なのは質ではなくマーケティングナンだと。
などということを思ってもみるのだが、映画自体はただただ下らないコメディ映画だ。爆笑するわけでもなく、時々クスリとするだけでなのだが、その笑いの奥に潜むそんな意志にふむふむとうなる。確かに劇場公開するほどではないけど、DVDで見る分には面白い。
