最高の人生
2009/12/3
Levity
2003年,アメリカ=フランス,100分
- 監督
- エド・ソロモン
- 脚本
- エド・ソロモン
- 撮影
- ロジャー・ディーキンス
- 出演
- ビリー・ボブ・ソーントン
- モーガン・フリーマン
- ホリー・ハンター
- キルスティン・ダンスト
強盗殺人を犯して二十数年間を刑務所で過ごしたマニュエルは模範囚として釈放されるが、自分の罪を償う方策もなく途方に暮れる。たまたま公衆電話にかかってきた電話を取った彼は地区センターで働くことに。そして、彼が殺した青年の姉に近づく…
ビリー・ボブ・ソーントン、モーガン・フリーマン共演のヒューマンドラマ。豪華キャストの割には凡庸な作品。
自分の犯した殺人を後悔しているというよりは、もはや自分の人生を送ることを諦めてすらいる主人公のマニュエル、そのマニュエルが地区センターで若者たちを助ける活動をしているマイルスに拾われる。そこでの生活を始めると同時にマニュエルは殺してしまった青年の姉に近づく。ただ彼女のためになりたいという思いを持って。
ビリー・ボブ・ソーントンが悪いわけではないのだが、この表情に乏しい主人公からは、その心理的葛藤が伝わってこない。20年以上を刑務所で過ごした者として若者と会話するとき、その間に何が生まれるのかということ、被害者の家族と(正体を明かさずに)接することでどのような化学変化が起きるのかということ、そんな膨らみそうなテーマはあるのだが、それがどうにもふくらまない。
若者らしい問題を抱えたキルスティン・ダンストの部分も膨らまそうと思えばふくらませるだろうにここもなにもない。
この全体に漂う停滞感はいったいなんなのだろうか? それにもかかわらず、マニュエルが殺した被害者の姉アデリーの息子が撃たれ、その復讐を計画するという部分や、謎の逃亡者ジョンという枝葉のように見える部分が展開し、重要になってもいく。
殺人や非行といった重要な問題を扱っているにもかかわらず、それを掘り下げていこうとしないというか、結局のところ誰もそれらの問題に真剣に向きあうことはせず、人々は理解しあわず、すれ違い、孤独なままに生きていく。この作品から伝わってくるのはそんな虚しい人々の生活だ。
だからここから何か教訓を得ようとするのは難しいし、見終わったときにもなんとももやもやした気分ばかりが残る。果たしてこの物語によって制作者は何を伝えたかったのか。結局のところ現代社会というのは虚しさと孤独で埋め尽くされているということなのか。だとしたら、ものすごくシニカルな映画だ。そして邦題もそれをさらにあおる。
