ライセンス・トゥ・キル 殺しのライセンス
2009/11/18
License to Kill
1983年,アメリカ,96分
- 監督
- ジャド・テイラー
- 脚本
- ウィリアム・A・シュワルツ
- 撮影
- ロバート・C・ジェサップ
- 音楽
- ローレンス・ローゼンタール
- 出演
- ジェームズ・ファレンティノ
- ペニー・フラー
- ドン・マレー
- ミリー・パーキンス
- デンゼル・ワシントン
主席で高校を卒業したリンは大学進学のためボーイフレンドに別れを告げるために車で出かける。しかしその途中、飲酒運転の車に衝突され帰らぬ人となってしまう。父親は犯人を裁くことに没頭し、母親は絶望に沈む。それぞれの家族は問題をどう捉えるのか…
飲酒運転の問題をテーマにした社会派ヒューマンドラマ。デンゼル・ワシントンが検事役で出演。
飲酒運転により死亡事故を起こしてしまった男とその家族、その事故によって娘を奪われてしまった家族、その二つの家族の相克が描かれる。
飲酒運転が禍々しい問題であることは間違いない。そしてそれが本当に問題になるようになったのはここ最近のことでしかないのはアメリカも日本も同じことのようだ。この作品でも過失致死の最高刑は禁固4年だという。厳罰にすればいいというわけではないが、命を奪っておいて4年というのはさすがに短すぎるというのが一般的な感覚だろう。
と、テーマは非常にわかりやすく、共感もできるのだが、ちょっと登場人物や設定が安易過ぎるという間はある。死んでしまった娘が高校を首席で卒業するような有望な子で、他方運転手はそれなりの地位はあるが、アル中の気があると。そんな極端な設定にするよりむしろ平凡な子供のほうが効果的だったようにも思える。
責任を感じていながら自己正当化と保身のことしか考えない犯人も、一人は犯人を罰することに没頭し、一人は絶望に沈むという両親もステレオタイプ化されている。
まあテレビ用映画なので、そんなものといえばそんなものなわけだが、そんな中、犯人の奥さんの複雑な心境がこの映画の肝になっている。彼女は夫を救いたいという気持ちもあるが、これまでに夫が飲酒で問題を起こしてきたということ、同じく子供を持つ親として子供を失うことのつらさもわかっている。事故後、夫が飲酒後に子供を野球に連れて行こうとして血相を変えて止めようとするシーンにその心理がよく表われている。彼女が判決をどんな顔をして聞くのか、それがこの作品を最後まで興味を失わずに見られる要因となったことは確かだ。
と、まあまあ面白い作品なのだが、このまあまあのTV映画が日本でDVDにまでなっているのはもちろんデンゼル・ワシントンが出ているから。DVDにパッケージになって入るがあれは脇役、いい役だがそんなに活躍はしない。彼が認知されるようになったのはアカデミー助演男優賞にノミネートされた1987年の『遠い夜明け』のあたりからで、このころはまだほとんど無名に近かった。でもやはりこの作品でも存在感は格別だ。デンゼル・ワシントンはセリフとセリフの間の“間”に醸す雰囲気がいいのだとこの作品で再確認した。
飲酒運転という題材に気が重くなるけれど、こういう形で取り上げられるというのはいいことだ。娯楽の中にも刺激がある。
