純喫茶磯辺
2009/11/9
2008年,日本,113分
- 監督
- 吉田恵輔
- 脚本
- 吉田恵輔
- 撮影
- 村上拓
- 音楽
- CKB-Annex
- 出演
- 宮迫博之
- 仲里依紗
- 麻生久美子
- 濱田マリ
- 近藤春菜
土建屋の磯辺裕次郎は高校生の娘咲子と二人暮し。父親が急死し遺産が入ると仕事もせずにダラダラと過ごすようになる。そんな父親を咲子は心配するが、喫茶店でマスターが若い女の子に人気なのを見て喫茶店を始めようと思い立つ…
吉田恵輔のオリジナル脚本によるヒューマンコメディ。
土建屋のオッちゃんがちょっとまとまったお金が入って、遊んで過ごすのだが、そろそろ何かしなくちゃなと思い始めたところで若い女と楽しそうにしている喫茶店のマスターを見て喫茶店を始めてしまうという話。
まあ派手ながらのセーターにセカンドバッグといういでたちで出歩くような土建屋のオッちゃんだから心身に力はあるのだろうけれど、センスを望めるはずもなく、出来た喫茶店はハチャメチャな派手さを持った街の喫茶店に。
その店のセンスも含めた下世話な感じがなんかいいというのがこの映画をみてまず感じたところ。カウンターに豹柄の椅子が設置していあったり、レジの下にチンチラ的な毛皮がかかっていたり、テーブルクロスが全部のテーブルで違っていたりすてまったく行きたくなるような喫茶店ではないのだけれど、その感じが「あるなぁ」と思ってしまうところがいいのだ。
そしてその店主を演じた宮迫がまたいい。まあちょっとこぎれい過ぎる気はするし、器用さが出てしまって演じている役柄というよりは宮迫というキャラそのままという感じがしてしまってはいるが、雰囲気は見事。特に腹の出具合が最高だ。役者に対して腹の出具合が最高というのもどうかと思うが、ただ太っているのでもなく、ただおっさんな訳でもなく、適度にだらしない感じに腹が出ている感じがこのキャラクターにピタリとあっている。
他の配役もなかなかいい。全体的にキャラクターがステレオタイプ化されすぎているという感はあるが、そのステレオタイプが店の感じと同様「あるなぁ」という感覚を覚えさせる。女子高生の娘、濱田マリ演じる奔放な母親、癖のある常連客たち、みながいかにもな感じでいかにもな世界を作っている。
それだけだといかにもな映画で終わってしまうのだけれど、この作品はそこに麻生久美子を一人放り込んだことで完成している。彼女が演じる素子はこのいかにもな世界には異色な何を考えているかわからない、過去も明らかではないキャラだ。しかし同時にいかにも映画的なキャラでもある。現実にはあまりいないけれど映画にはよく表れるようなそんな人物像があてはまる。
そんな映画的な人間がいかにもな世界にやってきて、いかにもな世界の人たちはひきつけられたり反発したり、極端な反応を示すことになる。それでも世界は変わらないけれど、みんなの人生や考え方はちょっと変わったりする。そんな日常の中の非日常を描いた作品というところだろうか。
まあ、とにかく宮迫のお腹に注目だ。
