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わたし出すわ

わたし出すわ

お金から見えてくる人間の本質、いろいろな視点から見られる。
★★★--

2009/11/1
2009年,日本,110分

監督
森田芳光
脚本
森田芳光
撮影
沖村志宏
音楽
大島ミチル
出演
小雪
黒谷友香
井坂俊哉
山中崇
小沢征悦
小池栄子
仲村トオル
小山田サユリ
ピエール瀧
preview
 民家の郵便ポストに1kgのゴールドバーが投げ込まれるというニュースが流れる中、山吹摩耶は東京から函館へと帰ってくる。市電に乗り、その運転手で高校の同級生の道上に他の友達も集めて飲もうと声をかける。そして摩耶は世界の市電をめぐるたびに出たいという夢を持つ道上に「そのお金、わたし出してあげようか?」と言う…
 森田芳光がお金から見えてくるさまざまな人間関係を描いたユーモラスなドラマ。
review
わたし出すわ
(C) 2009 アスミック・エース エンタテインメント

 全体的に謎めいているが、結局のところ何なのかという感じが付きまとう。東京から帰ってきた摩耶が同級生に次々と「お金を出す」という。最初は世界の市電を見て回るのが夢という道上にその資金を、そのほかには海外で手術を受ける費用や研究資金といったもの、主婦のさくらは小型冷蔵庫を買ってくれるだけでいいという。

 お金に対するスタンスの取り方、これがこの映画のテーマということになるだろう。道上の妻かえでのようにそのお金によって人生が狂ってしまうこともあれば、必要なだけのお金をもらってそれを100%生かすということもある。それはそれで人生について考えさせられる。一番面白かったのは小池栄子演じるさくらの夫(ピエール瀧)が箱庭協会の会長になるための資金が欲しいというところ。他の人にはまったく理解できないが、その本人にとっては非常に重要なことのために必要なお金、それは人間の欲というものを考えさせる材料になりうる。

 ただしかし全体的に切迫感がないという感じがする。あくまでも生活に余裕がある状態で、新たな選択のためとか、さまざまな可能性のためにお金があったらどうなるかという問題に過ぎない。それはお金の一面ではあるけれど、お金というものを問題の中心にすえるなら、それが欲とつながらなくとも人間の生死を左右しうるということも描いてもよかったように思える。

 まあその辺りを物足りなく感じるというのはお金というモチーフに対する興味の持ち方の違いということになるので、映画の良し悪しとは関係ないわけだけれど、私が森田芳光監督の作品にいつもどこか物足りなさを感じるのは、その辺りの感覚の違いによるのだと思う。

 もうひとつ、摩耶の母親の存在をどうとらえればいいのかというのも難しいところだ。病院というよりは会議室のようなだだっ広い部屋で機械につながれ一人寝かされている母親、意識不明なのか植物人間状態なのかはわからないが語りかけても反応がない。そんな母親に手厚い看護(というようにはあまり見えないがそういうことらしい)をする摩耶に仲村トオル演じるエージェントは謎めいた言葉を残す。それは単に親孝行ということなのか、母親の存在が摩耶の何らかの力の源泉になっているのか。(最初は、母親に予知能力的なものがあり、それで摩耶がお金を儲けているのかと思ったが、別にそういうわけではないようだ)

 というわけでよくわからない部分も多かったのだが、小池栄子とピエール瀧演じる夫婦の存在がなんだか心地よく、この映画全体もいい印象になった。もしかしたらこの作品は見る人によってさまざまな視点がありうる作品なのかもしれない。この映画をどう見るか、それは見る側に任されているということか。

わたし出すわ わたし出すわ
(C) 2009 アスミック・エース エンタテインメント

 

Database参照
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国別・年順: 日本90年代以降

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