デュプリシティ ~スパイは、スパイに嘘をつく~
2009/10/6
Duplicity
2009年,アメリカ,125分
- 監督
- トニー・ギルロイ
- 脚本
- トニー・ギルロイ
- 撮影
- ロバート・エルスウィット
- 音楽
- ジェームズ・ニュートン・ハワード
- 出演
- ジュリア・ロバーツ
- クライヴ・オーウェン
- トム・ウィルキンソン
- ポール・ジアマッティ
- デニス・オヘア
エクイクロム社に情報部員として採用されたレイは最初の任務でMI6時代に痛い目に合わされた元CIA諜報員のクレアと再会する。クレアはB&Rというライバル会社にもぐりこんだエクイクロム社の二重スパイなのだが、実はレイとクレアには秘密があった…
脚本家トニー・ギルロイの監督第2作。スパイのだましあいをスリリングに描くサスペンス・コメディ。
お互いCIAとMI6に所属していた頃にいわくのあった2人のスパイが今度は産業スパイとして再会し、一緒に仕事をする。そして実は二人は共謀して何かをたくらんでいた。しかし、そこは騙しあいの世界、いくら腕利きのスパイでも容易には行かず、誰が味方で誰が敵なのか、お互いが信用できるのかという疑心暗鬼の中で物語が進んでいく。
騙しあいのスパイものってのはくるくると展開が変わって面白い。この作品はさらに現在の時間からさかのぼって起きた出来事をインサートしていくことでさらに複雑に、そしてスリリングに展開していくことでめまぐるしい展開の変化が見られる。いったい何がどうなっているのかを整理して話についていくだけで大変なのだが、そのように観客に考える隙を与えないことこそ、こういう映画には必要な要素だ。観客の推測が働かなければ意外な展開を次々と繰り出すことによって観客を驚かせ続けることができる。
ただ、テーマが産業スパイということもあって、全体的に死と隣りあわせというような緊張感はなく、どこかほんわかとコメディタッチというような印象もある作品だ。レイがピザ業界のスパイとなって利益を得ようとするエピソードや、主プロットの業界がトイレタリー業界だというのもスパイ映画の緊張感からのずらしであり、親しみやすさを演出する。
このストレートなスパイ映画からのずらしは結果的に、この映画を役者の映画にしている。主人公であるジュリア・ロバーツとクライヴ・オーウェンの活躍を楽しめばそれでいい。そんな映画だ。実際、この物語は完全に2人を中心に進むし、登場時間も圧倒的に多い。2人は協働していながら、どこかで依然として疑い続けているということもあってか、2人の表情をクロースアップでとらえるシーンが多いことも、彼らの映画だという印象を強くしている。
そしてこの2人なのでもちろん絵になる。役者の好き嫌いはあるだろうし、クライヴ・オーウェンはちょっとあくが強すぎるような気もしないではないが、これはこれでいいのだろう。
スリリングなスパイ映画を期待した人には拍子抜けかもしれないが、個人的にはこういうゆるい感じのサスペンス・コメディも好きだ。ラストも結構好み。
