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主人公はマリア・カラスということで、どんな壮大なドラマが展開されるのかと思いきや、映画としては昼ドラ並みの安っぽいメロドラマである。最初の、マリア・カラスが世に出るきっかけになったというオーディションのシーンからして、太っているという設定の若かりしマリアを演じたルイーザ・ラニエリはただぶかぶかの服を着せられただけである。
その後の展開も、大富豪のオナシスがスターであるマリア・カラスを見初めて、強引に口説こうとするといういかにもな展開、しかもそれを何の工夫もなく、不自然な独り言なんかも使いながら、大げさに展開していくというわけだ。内容としては事実に基づいているのかもしれないが、それにしてもあらゆる状況が典型的過ぎ、それぞれの登場人物の心理がステレオタイプすぎる。
主人公があのマリア・カラスだからいいようなものの、これが完全なフィクションだったら、映画としてみるのはちょっと苦しい作品になってしまったのではないか。
しかし、この作品はやはりマリア・カラスの伝記映画、彼女の人生と人となりは興味深いものがある。特に、情熱的で激しいその性格をオナシスとの恋を通して描いたという部分にはなかなか面白いものがある。
ただ、この作品ではその彼女の激しさの発露が唐突過ぎるという感はあった。メロドラマ仕立ての恋愛模様に力を注ぐのではなく、彼女の内面をもっと丁寧に描いていれば、オナシスとの別れのあたりからのドラマがもっと盛り上がっただろうに。この作品の最大の難点は、素材の派手さをそのまま使ってしまって内面を描こうとしなかったことだ。もっと面白くなりそうな話だっただけになんだかもったいない。
歌のシーンは明らかな口パクだが、歌自体に迫力はある。ルイーザ・ラニエリの表情も、その劇を演じているというよりはそのときの心情を表現しているという感じなので、ドラマの展開としてはいい。歌のシーンはとってつけたような感じが否めないが、もっと使ってもよかったのではないか。口パクであっても歌の力というのは侮れない。歌というのはおのずと内面を表現する手段でもある。
なんだか非難めいたことばかりかいてしまったが、決してつまらない作品ではない。気楽に楽しめるし、いろいろな有名人も登場する。昼ドラとワイドショーを見る代わりに見たら、楽しい時間を過ごせると思う。
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