| 一夜に起きる事件を描いたオーソドックスなサスペンス映画。主役はディエゴ・ルナ演じるオタクなハッカーのロロで、犯罪の片棒を担いで金儲けをしているが、隣の部屋に住むチェリストのカルメンにご執心で、隠しカメラを設置し、合鍵を作り、電話の盗聴までして彼女を関し、近づいてい来る男を追い払うためにいろいろと策を弄する。そのロロが大事な取引の前に彼女に盗聴などなどがばれ、大事なディスクを取り違えたことで、事件は予想外の展開に… となる。ここまでくればひとつの手違いが事件を転がすサスペンスになるわけだ。
ということなので、全体的にはハリウッドのなかなかよくできたB級サスペンスという感じの味わいで、一夜を描いた作品なのでずっと夜というのも雰囲気がある。主演のディエゴ・ルナとネネを演じたルカス・クレスピはいかにもラテンのイケメン男という感じで、アメリカや日本でも十分ヒットする素地はある。
だが、まあやはりこの映画はメキシコ映画。監督もメキシコでプロデューサを長くやってきたものの監督は9年ぶりの2作目ということでネーム・バリューはない。特に筋立てや設定が面白いわけでもないので、ハリウッドでリメイクされることもないだろう。となると、ディエゴ・ルナやルカス・クレスピがハリウッドでブレイクされない限り、この作品が注目されることはないだろう。ハリウッドのB級作品と同じようにさっと消費されて忘れ去られていく、そんな作品だ。
この作品を見ていた思ったのは、メキシコというのはやはり才能がまだまだ埋もれているということだ。埋もれているというのはあくまでハリウッドやインターナショナルの市場から見た話だが、まだまだメキシコ国外では知られていない才能がたくさん埋もれているだろう。ディエゴ・ルナは『ターミナル』なんかでハリウッドに進出し、注目されているが(今度はマイケル・ジャクソンのそっくりさんの役をやるらしい)、この作品でディエゴ・ルナと並んで主役を張ったルカス・クレスピや印象的な薬屋の女を演じたカルメン・マドリードなどもハリウッドでも通用する人材だと思う。まあ、ハリウッドに行けるかどうかはうんとタイミングが重要なわけだが、日本でハリウッドでも通用しそうな俳優…と想像してみると、メキシコにいかに才能があふれているかがわかる。
ガエル・ガルシア・ベルナルとアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの大活躍で一段落したように見えるメキシコブームだが、まだまだメキシコ映画は注目に値すると思う。
|