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2005    

チェ・ゲバラ−人々のために−

2007/6/25
Che - Un Hombre de Este Mundo
1999年,アルゼンチン,88分

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          ★★★--  
     
 
 キューバ革命の指導者として知られるチェ・ゲバラ、彼はアルゼンチンで生まれ、医者となったがアルゼンチンを離れてキューバ革命に参加した。そのチェ・ゲバラの短い生涯を生前彼とともに過ごした人々へのインタビューでつづる伝記映画。
  製作したのは彼の生まれ故郷アルゼンチンの映画監督マルセロ・シャプセスで、キューバとは異なる視点から彼の生涯を見直す形となった。
監督 マルセロ・シャプセス
脚本 マルセロ・シャプセス
撮影 ウンベルト・ヴァレラ
音楽 ルイス・マリア・セルラ

出演 チェ・ゲバラ

 

 

 

 

 

 これは簡単に言えば「チェ・ゲバラ入門」である。チェ・ゲバラはそのイメージが世界に流布し、キューバ革命の闘士ということは知られているが、実際彼が何をし、どのような人物だったのかはあまり知られていない。キューバの人々は彼のことをもちろんよく知っているわけだが、それ以外の国ではイメージばかりが先行し、その実情はあまり見えてこないというのが正直なところだろう。
  それはおそらく彼の生まれ故郷であるアルゼンチンでも同じなのだろう。彼は若くしてアルゼンチンを去っている。彼が青年だった当事、アルゼンチンはペロンの独裁政権時代であり、彼はそれを逃れて南米各地を放浪、その末にカストロと出会い、キューバ革命に没頭するようになる。
  この作品は主に彼がキューバ革命に参加して以降のエピソードを彼とともに過ごした人々の証言から紡ぎだしていく。それは大体は時系列順だが、細かい部分ではそれぞれの証言者に依拠しているため、大まかな流れと細かなエピソードというモザイク的な構成になる。
  しかし、このモザイク的な構成がチェという人物の魅力を引き出している。単純に時系列順で構成してしまってはただの歴史上人物になってしまうし、一人の証言者のインタビューをまとめて流したのではただの思い出話になってしまう。そこを、複数の証言を比較できるようにすることで人間としてのチェ・ゲバラの姿が浮かび上がるようにうまく構成してあるのだ。
  だから、チェ・ゲバラという人物がどのような人物だったのかということを大まかにつかみたいという人にはうってつけの材料といえるだろう。

 ただ、この作品に登場する人々は彼の仲間ばかりであり、ほとんど好意的な印象しか証言として出てこない。確かに彼は好人物で、やさしく、しかし実行力があり、謙虚であったのだろう。それはよくわかるし、この作品を見ると本当にチェ・ゲバラという人物に敬服する気持ちがわく。
  しかし、完全に完璧な人間などいやしない。彼にも気難しいところがあったという証言は出てくるし、コンゴやボリビアに関しては彼にもミスがあったということを認める証言があるが、そこからは彼の人間くささや不完全さは表れてこないのだ。そのようなミスにもかかわらず彼は完璧な人間であり、誰からも愛される。
  でも、本当は彼を嫌っていた人もいただろうし(たとえば革命によって覆されたバティスタ政権人々なら必ずそうだ)、彼だってまったくあくどいことをやっていないとは言えないのではないか。彼がこれだけ不正を憎む背景にはきっと何かあったはずだし、そのように彼という人間を育てた背景にもドラマがあるはずだ。
  この作品は入門編としてはとてもいい。しかし私が見たいのはもっと人間チェ・ゲバラを感じさせてくれる作品だ。