| アニメーション自体は非常に素朴なもので、感じとしてはアメリカのTVアニメに似ている感じだ。CGを使ったりすることもなく、画作りも特に凝ってはいない。しかし、その素朴な感じが作品の世界とマッチしてなかなかいい。
この作品はアルゼンチンのアニメだが、アルゼンチンという場所に地歩を置いて、世界を観ているという感じがする。アルゼンチンといえば世界で最も借金が多い国の一つとも言われ、貧富の差は非常に激しい。南米の各国の例に漏れず失業者やストレートチルドレンが溢れ、治安も悪い。メルカーノがとぼとぼと散歩をするシーンでアルゼンチンのそんな現状をさらりと描き、さらにそこにパソコンがばら撒かれたらどうなるのかという仮定を投げかけている。
そしてさらに金持ちの家の息子やテクノロジーを嫌うパンク3人組が登場し、テクノロジーと貧困の問題を描き出す。
しかし、基本的にはそんな堅苦しい内容ではなく、火星人を利用して金儲けをたくらむ人々を面白おかしく描いたものだ。そしてさらにはグロテスクな描写も多く(とはいえ、映像がリアルではないので、別に気持ち悪かったりはしない)、ブラックなユーモアに溢れている。
アニメ映画として傑作というわけではなく、どうもTVっぽさが強いように感じるが、アルゼンチンというアニメというジャンルではあまり聞いたことのない国から出てきた作品であり、それゆえにこれまでのアニメにはない独特の感性があるように思える。
まあ、ジャパニメーションが世界を席巻したのも、質の高さに加えてそのようなもの新しさがあったのだろうから、アルゼンチンをはじめとする南米でも、アニメの質が上がってくれば世界に通用するアニメが生まれてくるのかもしれない。この作品くらいの質があればとりあえず世界でも通用すると思うが他にもいい作品が出てこないと、なかなか話題にはなりにくいだろう。
とりあえずこの作品は面白い。ブラックではあるが、ほのぼのした感じもあり、爆笑という感じではないがニヤニヤしてしまう。アニメの映画は(子供向けをのぞくと)本数が少ないので、アニメ映画が好きだという大人にはぜひ見てほしい貴重な作品だと思う。
見れば、アルゼンチンという国に興味も出るかもしれない。アニメでは面白おかしく描かれているが、実際の状況は悲惨なものなのかもしれないのだ。
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