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ベストセラー

シューティング・フィッシュ

★★★--

2007/4/17
Shooting Fish
1997年,イギリス,114分

監督
ステファン・シュウォーツ
脚本
ステファン・シュウォーツ
リチャード・ホームズ
撮影
ヘンリー・ブラハム
音楽
スタニスラス・サイレウィック
出演
ダン・ファターマン
スチュアート・タウンゼント
ケイト・ベッキンセイル
ラルフ・アイネソン
preview
 孤児院育ちのジェズとディラン、イギリス人のジェズはテクノオタクとなり、アメリカ人のディランは失敗してマフィアに終われる羽目に。同じ大きな屋敷に住むという夢を持つ二人がロンドンで出会い、意気投合して事業を始めるが、それは詐欺だった…
  いかにもなブリティッシュ・コメディでそれなりに楽しめる。ハリウッド進出前のケイト・ベッキンセイルがヒロインを演じる。
review

 アメリカのコメディよりイギリスのコメディのほうが日本人には受け入れられやすいと常々思う。この作品も笑うような場面はほとんどないのだけれど、なんとなくおかしいところもあり、全体的には和やかでいかにもコメディらしい雰囲気を持っている。
  コメディ映画というのは本当に難しい。特に外国のものを見るとき、あるいは外国に持って行くときには作られた国と同じ感覚ではまず見られないというのが当然だろう。ハリウッドでは本当にたくさんのコメディが作られているが、その半数以上は日本に入ってこない。もちろんハリウッドではたくさんの映画が作られており、その半数以上は日本に入ってきていないのだと思うが、コメディ映画が入ってくる割合は、おそらくそれ以外の映画が入ってくる割合よりはるかに低いだろう。そしてそれはもちろん日本人には「笑えない」(だろうと配給会社が考える)からだ。
  そして入ってきた映画を見てみれば、やはりその大部分は笑えない。しかし、アメリカ人はそれで笑うのだ。とにかくばか笑いするのだ。
  そこには日本人とアメリカ人のコメディに対する感覚の違いがあるような気がする。日本人にとってコメディ(喜劇)とは必ずしもばか笑いするものではないように思える。日本人がばか笑いするのはバラエティ(トーク)やコントという瞬間のものであってひとつの物語を紡ぐ映画ではない。喜劇映画とはばか笑いの瞬間をただつなげたものではなく、ひとつの物語でなければならないという感覚がどこかにあるのだ。そして、ひとつの物語であるということはそこに何らかのドラマがなければならず、そこには必ず笑い以外の要素が入り込んで行くのだ。
  しかし、アメリカのコメディはドラマがなくとも成立しうる。ただただバカバカしいギャグをつなげ、なんとなくストーリーのようなものがあればそれで映画になってしまうのだ。

 そこでイギリスである。イギリスの喜劇映画を観ていると、それはアメリカよりも日本に近い。そこには必ずドラマがあり、喜劇だけに終わらない深みがある。
  その源泉はやはり、映画の創成期にあるのかもしれない。映画の創成期にアメリカで人気を博したふたりの喜劇スターといえばチャップリンとバスター・キートンである。アメリカ生まれのバスター・キートンは短編から長編に、そしてトーキーへと作品の形態が移り変わっても変わらずスラップスティックな笑いを追及し、一瞬一瞬のギャグで観客を笑わせた。これに対してイギリス生まれのチャップリンは長編化とともに喜劇に悲劇を持ち込み、短編のスラップスティックコメディを悲喜劇へと昇華させた。日本ではもちろんチャップリンの人気が今でも圧倒的だが、アメリカではバスター・キートンも依然として非常に人気がある。
  このふたりでアメリカとイギリス(そして日本)のコメディを語ってしまうのはあまりに乱暴に過ぎるということは分かっているが、この作品のようにギャグというような部分はほとんどないにもかかわらず面白いブリティッシュ・コメディというものを見ると、ついついそんなことを考えてしまうのだ。

 ここまでのところまったく作品の内容に触れていないが、まあそんなようなコメディであるということだ。主人公ふたりの発想が面白く、その結果繰り広げられるドタバタ劇も面白い。予定調和的過ぎるところと無理やりな展開の仕方、そして途中の手口のお粗末さは少々興ざめだが、全体的には悪くない出来だ。
  恋愛を盛り込んだりする展開の仕方などは多分にハリウッド的なものも感じさせるが、それでも本質的にはイギリスのコメディであり、そのことによってハリウッド的な見易さと親しみやすい笑いの両方を持つことが出来、日本人には非常にわかりやすく楽しみやすい作品になったように思える。
  日本とイギリスのコメディが似ているとは言ってもぎちぎちのブリティッシュ・コメディはやはりわからない部分も多い。この作品は日本人が(というよりは世界中が)慣れ親しんだハリウッド的な展開を用いることで展開をわかりやすくして観客を引き寄せる。そこが面白いところだと思う。

Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: イギリス

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