| 警察側の主役となる登場人物たちはみなおかしいほど若い。となると、そこにロマンスが生まれたりしそうだと思ってしまうのはハリウッド映画の悪い癖、これは香港映画だからそんなことが起きるとは限らず、物語は淡々と進む。
物語の核心にあるのは警察と犯人のやり取りである。警察の威信回復をかけて大報道陣の目の前で犯人を取り押さえようとする女性警視と、何とか逃れようとする知能的な強盗犯、そこに一本気の刑事と巻き込まれる形で強盗犯と組むことになった殺し屋、その四者の関係で物語りは展開して行く。
言ってしまえばただそれだけの非常にシンプルな話、そこに様々なアイデアを詰め込み、軽快なカメラワークとカッティングでペースを作り、とにかく物語をスピーディーに引っ張って行く。その展開はさすがにアクション映画の本場香港という感じで、楽しく見ることが出来る。全体のイメージとしては“硬い”感じ、ハードボイルドな感じがして、ジョン・ウーの香港時代を思わせるようなそんな作風である。
その意味ではなかなかの作品で、見ていて飽きないのだが、終盤に差し掛かって件の女性警視が行動を起こし始めると少々雰囲気が変わり、ウェットな感じが加わってくる。犯人側の心理的なやり取りは依然として面白く、にやりとするような感じもあるが、警察側は今ひとつそこに行き来する心理の機微が読み取りにくく、蛇足というか、硬質なムードを少し損なってしまうようにも思える。
こういう結末のつけ方にするなら、全体にもう少し伏線のようなものを張っておいたほうがいいような気がするが、それよりは徹底的にハードボイルドな結末にしたほうがすっきりと見られたのではないかとも思う。
監督のジョニー・トーは80年代から活躍する香港の映画監督で、2005年には『エレクション』でカンヌ映画祭のパルムドール候補にもなった。作品数はかなりのものに登り、その中には面白い作品もいくつかあるだろうと思わせるだけの作品ではある。
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