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ビッグ・ウェンズデー

★★★.5星

2006/10/10
Big Wednesday
1978年,アメリカ,120分

監督
ジョン・ミリアス
脚本
ジョン・ミリアス
デニス・アーバーグ
撮影
ブルース・サーティース
音楽
ベイジル・ポールドゥリス
出演
ジョン=マイケル・ヴィンセント
ウィリアム・カット
ゲイリー・ビューシイ
リー・パーセル
バーバラ・ヘイル
preview
 1960年代半ばのカリフォルニア、海辺の町でサーフィンに明け暮れるマット、ジャック、リロイ。パーティーともなれば派手にバカ騒ぎをする若者だったが、マットは抜群の腕前を持ち、地元では有名人だった。しかし、彼らにも召集令状が届き、彼らのそれぞれの人生を歩み始める…
  サーフィンを通して60年代の若者の青春を描いたサーフィン映画の名作。圧倒的な迫力のサーフシーンとその時代の音楽が頭に残る。
review

 この映画はサーフィン映画として有名だが、いわゆるサーフィン映画のように名サーファーが登場してものすごいライドを見せたりするわけではない。それよりも3人の若者の友情物語であり、成長物語である。いきなりヘロヘロの姿で登場するマットが海に入ると見違えるように見事なサーファーとなるのは、サーフィンが彼らの絆であることを見事にあらわす。そしてその絆の中心にはサーフボードを作るベアがいる。3人より少し年上のベアは彼らを結びつける紐帯となっているのだ。
  しかし、ジャックが監視員となり、さらに徴兵されて戦争に行くことで彼らの関係は変化する。リロイはどこかへと旅立ち、マットは別の仕事を見つける。そんな中でベアは街にサーフショップを開いて成功し、サーフィンから離れようとするマットを何とか引き止める。
  そのベアの存在によって彼らはサーフィンとつながり続け、友情を保つことができていたのではないか。若者というのは自分勝手なもので、以下に友情が大切なものであるかをわかっていない。ベアは常にそのことを彼らに伝えようとしているのだ。
  そして10年後、数十年に一度の波が来るというそのとき、ベアが浮浪者のような格好でいるのが非常に印象的だ。3人は散り散りになり、連絡も取り合わずにいる中で羽振りのよかったはずのベアが落ちぶれる。それは非常に示唆的な展開である。
  しかし、3人は集まる。ベアの力を借りずともサーフィンという紐帯によって自然と集まるのだ。それは彼らが大人になったということを意味する。ベアは最初に大波を制して3人は大人になり、伝説になるというけれど、彼らはその大波に挑戦する前に大人になり、友情の意味もそして大波の意味も理解したのだ。
  もちろん最後に大波に挑戦するシーンこそがこの映画のクライマックスであり、最も見ごたえのあるシーンであるけれど、青春映画としてはその前にすでに結末はついている。この波に乗れようと乗れまいと彼らは友情を保ち続け、今度はベアを助けることになるだろう。彼らは伝説になり損ねたが、彼らにはそんなことは関係なく、逆にベアのボードは伝説になる。
  サーフィンという要素と青春映画という要素に分裂しているために、そのそれぞれが希薄という印象は否めないが、どちらの要素もなかなかの質の高さを保つ作品であると思う。

Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: アメリカ60~80年代

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