| ベン・スティラーの作品の多くは日本でヒットしないし、そもそも公開もされない。この作品もオリジナルのドラマが日本で放映されており、それなりに人気だったにもかかわらず、結局、劇場にはかからず、ビデオスルーとなった。まあ、その理由には配給権料の高さなんていうビジネス面での理由もあるのだろうけれど、なんといってもベン・スティラーの「ほら笑え」という過剰な演技が日本人の笑いの感性にあわないというのが最も大きな理由としてある。
しかもこの作品の相棒はどうも地味なオーウェン・ウィルソン。ベン・スティラーの過剰な演技で『ドッジボール』並みにこけるという予想が立ってもまったく不思議はない。
というわけで、あまり面白そうではないこの作品だが、実際みてみると、意外に楽しめる。それはまず、この映画の舞台となっている70年代という時代と現代のズレが、どこかでベン・スティラーのズレとシンクロしているというのが理由なのかもしれない。日本人がベン・スティラーののりについていけないのと、今の人が70年代ののりについていけない、そのついていけなさがうまい具合にリンクして、ベン・スティラーのあくをいい感じで抜いているのだ。
だから、それほどベン・スティラーのいらやしさが目に付かず、作品を作品として純粋に見ることが出来るのだ。
そして、作品のほうはといえば、どうってことないと言えばどうってことない内容であるにもかかわらず、細部にはいろいろと仕掛けがなされているのがいい。特にスタスキーとハッチのコンビで観客を笑わせたり、ほっとさせたりという演出は、さすがにTVシリーズから培われてきたキャラクター設定が生きたものと見える。
そして、最後までみてみると、これが全体的には恋愛映画であると見ることが出来るというのもなかなかおもしろい。別に隠れゲイ映画というわけではないが、ハリウッド映画にはこの手の同性愛的友情描いた作品が結構ある。それは、それぞれの異性との恋愛も描かれていることも多いのだが、結局は同性同士のコンビの“愛”が描かれるという作品である。エディ・マーフィーの『大逆転』やら『ビバリー・ヒルズ・コップ』なんかは、その典型的な作品ということができるだろう。
しかも、この作品では露骨にゲイネタも披露され、観客がそれに気づかないわけには行かないようにもされているのだ。
結局、恋愛映画の構造をとったこの作品はゲイフォビアの人は無意識的に拒否するかもしれないが、多くの人に受け入れやすいものとなっている。なんだかのんびりとした気分になって、オリジナルのTVシリーズを見てみたくなる。これもある種のノスタルジーなのかもしれないなぁ
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