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女と命をかけてブッ飛ばせ

★1/2星星星

2006/7/23
1960年,日本,77分

監督
曲谷守平
原作
三田一夫
脚本
鈴木岬一
米谷純一
撮影
岡戸嘉外
音楽
三保敬太郎
出演
宇津井健
伊達正三郎
星輝美
三条魔子
魚住純子
preview
 オートバイで新聞記事を運ぶ仕事をする松崎は仲間内でも一番のスピードを誇っていた。そんな彼に謎のスポーツカーの女が目をつけ、モーターボートのテストドライバーにならないかと大金を渡して誘いをかける。松崎はオートバイに固執してそれを断るが…
  宇津井健主演のサスペンス・アクションで、新東宝が際物的な作品を多く作った末期の作品。
review

 作品についていうことははっきり言ってほとんどない。宇津井健演じる主人公が騒動に巻き込まれ、立ち回りを演じるサスペンス・アクションである。作品のジャンルとしてはこの頃(高度成長期)に数多く作られた企業サスペンスのひとつで、のちに宇津井健が主演することになる大映の「黒」シリーズにも通じるものがある。そして、この「黒」シリーズの第1作にあたる『黒の試走車』(主演は田宮二郎)はモーターボートではなく、スポーツカーの開発競争にまつわる企業サスペンスで共通するものを感じさせる。ただ、この頃にはこのような企業サスペンスは数多く作られていたから、それはまったく不思議なことではないし、『黒の試走車』のほうがはるかに作品としてのできはいい。
  新東宝は1961年に倒産したから、この作品は本当に末期の作品。末期の新東宝は本当に際物というべき作品が多いが、その中にはもう少し評価されていい作品もある。まあ、この作品はそこには含まれないが…

 ということで、話は新東宝のことへ。新東宝はそもそもいわゆる「東宝争議」(東宝の労働組合が長期のストライキに入った事件、当時は監督も役者もカメラマンも全てが社員だったため、ストライキによって東宝はまったく映画が作れなくなった)の際に組合を離脱した人々によって作られた新会社である。設立当初は東宝から数多くの監督が移籍してきており、東宝配給で名作も生み出した。
  しかし、東宝争議が解決し東宝が政策を開始すると、新東宝は不採算が続き経営陣が後退、「エログロ路線」へと方針を転換する。路線転換後は多少再三も改善、菅原文太、丹波哲郎、宇津井健といった役者、中川信夫、石井輝男といった監督が活躍するが、まもなく下降線をたどり、1961年に倒産の憂き目を見た。
  後期の際物作品はマニアには注目されているが、一般的な映画史にはなかなか登場しない。しかし石井輝男と宇津井健の『スーパージャイアンツ』シリーズなどは日本初の特撮スーパーヒーローものとして、映画史的に見ても一顧の価値はある。その他には、三原葉子主演の「女王蜂」もの、丹波哲郎などが出演した「怪談」ものなどがあるが、概して今一般受けするような作品ではない。際物というかマニアックなものが好きだという人はぜひ見ることを進めるが、駄作も多いので注意が必要。
  現在は『スーパージャイアンツ』をはじめとしてDVDが多く発売されているので、意外に見る機会はあるだろう。

Database参照
作品名順: 
監督順: 
国別・年順: 日本60~80年代

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