| B級という印象はぬぐえないものの、展開にはなかなかスリルがあり、見ていて飽きることがない。出演者も実力派のビル・パクストンにまだ出立てのマーク・ウォールバーグ、「ER」で人気を集めていたジュリアナ・マーグリーズとなかなかの顔がそろっている。
それに、詐欺師ものというのはあまり大きく失敗しないような気がする。だましだまされというスリルはそれがどんなに小さなものでも観客をハラハラさせ、注意をひきつける。この作品でも誰が誰をだますのか、それを考えるだけでとりあえず映画の時間は過ぎて行く。
しかし、それでもやはり平凡な作品ではある。取り立ててスジに工夫があるわけでも、びっくりするようなトリックがあるわけでもないし、時には説明不足ではないかというトリックもある。詐欺の展開というのは、観客が気づくか気づかないかというタイミングとの関係で、速すぎてもダメだし遅すぎてもダメというあやういバランスの上に成り立つものであるが、ここではなかなかうまくバランスをとりきれていないような印象がある。時には展開が速すぎ、時には遅すぎる。その辺りが今ひとつ「おもしろかったー」という爽快感を感じられない理由だろう。
ただ、この作品には“トラベラー”という一風変わった個性がある。あちこちを旅して回るサギ師のファミリーである“トラベラー”は辺鄙な街に固まって住み、ファミリーを形成する。その仕組みの細かい部分は明らかにされないが、いわゆるマフィアとも違うなかなかおもしろい仕組みをとっているように見える。
その仕組みが少しずつ明らかになって行くというのも、作品全体を通した大きな謎解きとして提示されており、それもひとつ観客をひきつける要素となっている。そしてもうひとつ面白いと思うのはこの“トラベラー”のファミリーとしての絆である。システムはよくわからないけれど、彼らは固い絆で結ばれており、その強固なファミリーにパットが入れるか(あるいは戻れるか)というのがひとつのプロットともなっているのだ。
このファミリーは外部を徹底的に排除する。だからこそパットを最初拒絶するわけだ。しかしもちろんファミリーだから温かみもあり、内部のものには非常に暖かい。まさに家族のように彼らを守り、彼らもファミリーを守るのだ。その対外と対内の画然とした違いが最終的に浮かび上がってくるというのが独特でなかなかおもしろかった。
なにかもっと練ればおもしろい作品ができそうでもあるし、続編も作れそうではあるが、まあこんなものだろうという印象は強い。
|