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子供に向けられた映画には「子供向け映画」「大人でも楽しめる映画」「子供だましの映画」などいろいろあるが、これは純然たる「子供向け映画」である。主人公は12才の少年エーミールで、田舎に住む彼が大都会ベルリンへと冒険に出かけ、そこで子供たちと出会い、仲良くなってさらなる冒険へと繰り出すという展開。これは子供の冒険心をくすぐり、子供をその物語に引き込んで行くに十分な内容である。
そして、さらには秘密基地が登場し、大人から自由な子供たちが登場し、大人顔負けの知恵と行動力を見せて、大人をギャフンといわせる。これを子供が喜ばないはずがないというモノだ。子供は常に大人に対して不満を抱き、大人がいなければ出来るはずのことを夢想する。この映画はそんな夢想をスクリーンの上に実現し、夢の世界を展開するのだ。
だから子供の頃に見えれば間違いなくわくわくし、物語に引き込まれただろう。実際に私はこの原作の小説に夢中になってこの作家の他の作品も読みふけったのだから、この物語が子供に対して持つ魔力は自分自身で実証済みというわけである。
しかし、大人となった今この映画を見て見ると、少し子供向け過ぎるというかあまりに子供の夢想に忠実すぎて面白みがないようにも感じる。結末に至るまでどこを切っても子供の世界、子供の勝利であり、大人の入り込む隙はほとんどないのだ。もちろん子供たちは大人たちに不満を持ってはいても常に親を愛し親に頼ってはいるわけだけれど、それ以外の部分で大人が子供にかかわって行くという展開がこの映画にはかけているように思える。
原作がどうだったかは覚えていないが、原作はもう少し踏み込んだ形で、説教臭くとまでは行かないにしても教訓めいた話にしていたような印象がある。子供の自由な世界は常にそこにあり、それは大人をも凌駕するものをたくさん持ってはいるが、やはり大人の世界たる現実と折り合うためにはもっと必要なものがあるはずだ。
ディズニーの多くのアニメのような「子供だまし」の話では決してないが、「大人でも楽しめる」ほどには洗練されておらず、あくまでも「子供向け」そんな印象を免れることはできない。
まあそれでも子供向け映画としてはなかなか優秀、『ふたりのロッテ』と並んで何度も映画化されている題材だけにおもしろくかつ独自性を出すのは難しいことだと思うが、現代風のアレンジがいやらしくなく物語にフィットしているところは評価できると思う。
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